GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

水原 麟太郎×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.17

水原 麟太郎×高嶋 ちさ子

2013.02.01

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんに、ゲストの方をお迎えして銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、レストラン、カフェ、画廊の3店舗を展開されている「銀座清月堂」の代表取締役社長、水原麟太郎さんです。

銀座の商人の心構え、精神はすべて厳しい父から教わりました。

高嶋さん
お店を開いたお父様は、どんな方だったんですか。
水原さん
父はいつも厳しかったのですが、よく教育してくれました。銀座通りはお客様が使う道だと言って、われわれ商人は真ん中を通ってはいけない、というのもよく言われたのを覚えています。
高嶋さん
徹底していますね。
水原さん
「コーヒー1杯飲んで下さるお客様が毎日来て下さったら、1年で360株の株主だ」というのも、口癖のように言っていました。その株主あっての我々で、その感謝の気持ちを込めて“いい雰囲気”と“美味しいコーヒー”という配当をお出ししなければならない、と。その方たちに支えられている分、一生懸命はたらくようにと、厳しく言われてきました。父はよく来て下さるお客様を本当に大事にしていた人でした。
高嶋さん
お客様への愛が素晴らしい。
水原さん
全国に○○銀座という通りはたくさんありますが、地方で「銀座」を名乗ってがんばってくれている街のためにも、ここ本家「銀座」は常にがんばっていかなければいけない、というのも父からの教えです。
高嶋さん
お父さまは、厳しい中にもすばらしいことを教えて下さった方なんですね。
水原さん
92歳で亡くなりましたが、人に対する礼儀とか、真心をこめて商売をする精神とかは、すべて父から教わりましたね。
高嶋さん
今は、息子さん、お嬢さんも一緒に、ご家族で経営をされているんですよね。
水原さん
はい、息子は新宿のレストランの総支配人をしています。娘は、外に働きに出た時期もありますが、今はうちの事務所で働いてくれています。家族のほかに10数名の社員と共にこぢんまりと頑張っています。

石畳に替えた「あづま通り」が、世界の人々をお出迎えします。

高嶋さん
水原さんは、あづま通りの復興にも力を注いでいると伺いました。
水原さん
はい。あづま通りを少しでも多くの人に訪れてもらうため、3年前にこの通りを石畳に替えたんですよ。
高嶋さん
その行動力がさすがです。
水原さん
日本は、少子化と言われているので、日本人だけに目を向けていてはもうダメだと思うんです。他の地域の街もみんな頑張っているわけですし、やっぱり銀座も海外からお客様を沢山お呼びして、がんばっていきたいですね。その考えのもと、「あづま通り」を石畳にして、海外のお客様にもいい雰囲気だと感じて頂ける通りに替えたんです。
高嶋さん
地元の方たち、みなさんの協力もあったんですか?
水原さん
はい、あづま通りのお店の方たちはみなさん協力的でした。東京都、中央区も補助金を出してくれたお陰で実現したんです。
高嶋さん
実際につくり替えてみて、石畳の評判はいかがですか?
水原さん
評判はいいですね。娘には「ハイヒールのかかとがひっかからないか心配だ」と言われましたが、みなさんいい雰囲気だと褒めてくださいます。
高嶋さん
お父さまがご苦労されたのに、そういうコメントができるのは娘さんならではですね (笑)。でも、「あづま通り」本当に素敵だと思います。 ヨーロッパの町並みのようだと思いました。
水原さん
そう言っていただけて嬉しいです。こうして銀座はがんばっていますので、これからもたくさんの方に訪れていただける街でありたいですね。

次回のゲストは……?

高嶋さん
次回のゲストをご紹介いただけますか?
水原さん
江戸時代からの歴史があるハンドバッグ専門店「銀座大黒屋」の代表取締役社長の安西慶祐さんです。お店の歴史をはじめ、ご自身でもデザインされるハンドバッグについて、また銀座に対する想いをいろいろと聞けると思いますよ。

高嶋 ちさ子

ヴァイオリニスト。6歳からヴァイオリンを始め、海外で活躍後、日本に本拠地を移し、全国各地でコンサートを行っている。現在は、演奏活動を中心としながらも、テレビやラジオ番組の出演などでそのキャラクターが評価され、活動の場はさらに広がりを見せている。

高嶋ちさ子オフィシャルウェブサイト

水原 麟太郎

貸しギャラリー「清月堂画廊」、カフェ「LINTARO CAFÉ」、フランス料理店「清月堂 新宿店」の3店舗をご家族で営む水原商事の代表取締役社長。その歴史は深く、和菓子の「清月堂本店」(創業1907年)ののれん分け店としても知られる。
動物が好きで、犬を2匹、猫を3匹を飼っている。犬の散歩が日課。

「銀座清月堂」ウェブサイト

取材・文:高橋瑞穂  取材場所:清月堂画廊

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