GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

渡邊 章一郎×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.37

渡邊 章一郎×高嶋 ちさ子

2014.10.07

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんに、ゲストの方をお迎えして銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、明治時代から続く浮世絵界の重鎮、「渡邊木版美術画舗」の代表取締役、渡邊章一郎さんです。

趣味はクラシック音楽鑑賞。浮世絵との共通点は…?

高嶋さん
ところで、プライベートなこともお伺いさせてください。ご趣味は何かありますか?
渡邊さん
高嶋さんを前にして言うのはお恥ずかしいのですが、子供の頃からクラシック音楽が大好きです。
高嶋さん
そうなんですか? 何のジャンルが好きですか?
渡邊さん
オーケストラですね。NHK交響楽団は45年通い続けています。10歳の頃から会員ですよ。たぶん、最長会員の部類なんじゃないでしょうか(笑)
高嶋さん
私も母とよく通っていましたよ。
渡邊さん
仕事でミュンヘンに行ったときに衝撃を受けたんですが、街角でクラシックを演奏していた人がいたんですよ。ロックな恰好をして、ヴィヴァルディの四季を演奏していて、それがもうすごくかっこいいんですよね。譜面通りに演奏しているのに、コンサートホールで聴くのとは全く違う、ロックなクラシックでしたね。本来、音楽ってこういうのものだったのかなって思いました。
高嶋さん
そうですね。絵もそうだと思うんですけど、クラシックだって元々娯楽なんです。宮廷で王様のために演奏していた音楽で、演奏家は使用人の入り口から出入りしていた下働きの職業なんですよね。それがなんか変わってきちゃって。
渡邊さん
浮世絵と似ていますね。商品として楽しむものが芸術になった。
高嶋さん
オペラなんかも同じですよね。内容的にはそれこそ、昼ドラの世界ですけど、今ではタキシードを着用しないとダメですから。
渡邊さん
全然仕事とは関係ない趣味なんですけどね。
高嶋さん
いやいや、音楽は趣味が楽しいですよ(笑)。楽器も何かされるんですか?
渡邊さん
以前、ピアノを少しやっていました。何でもいいから楽器ができると楽しいですよね。
高嶋さん
チェロがいですよ! バイオリンよりいいです(笑)!チェリストは少ないので人気ですし、安定感があっていいですね。おすすめです。

今こそ銀座に浮世絵師のセンスが必要なとき

高嶋さん
最後に銀座に対する想いをお聞かせください。
渡邊さん
今銀座は、外国のブランド品のお店がすごく多いですよね。それはもちろん、喜ばしいことなんですが、やはり日本から世界のブランドを発信したいなと思っています。そういう意味で、浮世絵は日本の誇れる文化ですから、胸を張って世界に発信できる商売をさせていただいておりますね。
高嶋さん
お店も創業100年以上ですもんね。
渡邊さん
でも、銀座って、世界的な主要都市のパリやウィーンなんかと比べると歴史が浅いんですよ。昭和の初めに銀座にモダンガールやモダンボーイが出てきて、いち早く百貨店が次々とオープンして、常に新しいものを発信して注目されてきたのが銀座なんです。いつからか銀座が、老舗ばかりのイメージになってしまっているのではないかと思っています。私のお店も老舗の部類に入るのかもしれませんが、新しいものを発信していきたいです。浮世絵の時代、版元が、お客さんにウケるものを作ろう、エンターテインメントを作ろう、と試行錯誤していたそのセンスが、今、我々にも必要なのかなと思います。

次回のゲストは……?

高嶋さん
次回のゲストをご紹介いただけますか?
渡邊さん
鉄道模型でも有名な、時計・貴金属販売の老舗、天賞堂の専務取締役 新本桂司さんです。
常に新しいことを取り入れ、日本での時計や貴金属の発展に深く関わってきた、歴史あるお店です。

高嶋 ちさ子

ヴァイオリニスト。6歳からヴァイオリンを始め、海外で活躍後、日本に本拠地を移し、全国各地でコンサートを行っている。現在は、演奏活動を中心としながらも、テレビやラジオ番組の出演などでそのキャラクターが評価され、活動の場はさらに広がりを見せている。

高嶋ちさ子オフィシャルウェブサイト

渡邊 章一郎

渡邊木版美術画舗3代目店主。大学卒業後、「和光」に就職した後、昭和60年から現職へ。
テレビ東京の人気番組『開運!なんでも鑑定団』でへの出演、講演会などさまざまな方面で活躍中。

「渡邊木版美術画舗」ウェブサイト

取材・文: 岡井美絹子 取材場所:銀座グランドホテル(http://www.ginzagrand.com/)

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