CSR・CSV

セイコーホールディングス

Ginza×CSR・CSV Vol.20 セイコーホールディングス

“わ”で奏でる東日本応援コンサート
支援と希望の「輪と和」を音学に乗せて

2015.03.10

「銀座×CSR」のコーナーも20回目を迎えました。今回お話を伺ったのは、東日本大震災後からコンサートの開催を続け ている、セイコーホールディングス ブランド推進二部長の八高浩一さんと、和光広報宣伝部長の瀬能亜希子さんです。背景には、セイコーグループの「音楽の力で東北を応援したい」という思いが ありました。

周年記念イベントを全て中止して復興支援

  • ─ 東日本大震災から、まもなく4年が経とうとしています。震災が発生した2011年は、セイコー創業130年の節目の年だったそうですね。
  • 当初は、年間を通して周年記念イベントを多数計画していました。しかしながら、震災発生の翌日には、当社代表取締役会長兼グループCEOの服部真二の決断で、全てのイベントを中止にし、その代わりに、3年間で130以上の被災地支援活動を実施することにしたのです。
  • ─ それが「Seiko 130 Actions」ですね。
  • 震災の翌日から、2014年3月10日までの3年間で、138件の支援活動をさせていただきました。
    東北の小学校・中学校・高等学校へチューナー・メトロノームを寄贈するといった物資提供のほか、被災地での除染作業、津波で流された写真の洗浄作業、募金活動や日用品の送付など、当社を始めとしたグループ会社、個人、有志で行うボランティアを一つひとつ積み重ねました。

音楽で被災地と支援者をつなぐ

  • ─ 「Seiko 130 Actions」は終了しましたが、今でも支援活動は続いているのでしょうか。
  • これまで音楽を軸とした文化活動をしてきたこともあり、物資ではなく、音楽が心に与える癒やしや励ましを届けることで何かできないかと思い立ちました。
    東北の小学校・中学校・高等学校へチューナー・メトロノームを寄贈するといった物資提供のほか、被災地での除染作業、津波で流さそこで、当社グループCEOの服部が、作編曲家・ジャズピアニストの前田憲男氏にお声掛けをして、岩手県一ノ関市や宮古市など、東北の沿岸地域を中心に2011年8月からコンサートを行うようになりました。
    東北の小学校・中学校・高等学校へチューナー・メトロノームを寄贈するといった物資提供のほか、被災地での除染作業、津波で流さ2013年9月からは「“わ”で奏でる東日本応援コンサート」として、服部が実行委員長を務める形で改めてスタートし、これまで東北三県と東京で計12回のコンサートを開催しています。
  • ─ 名称の「わ」にはどのような想いが込められているのでしょうか。
  • 支援活動の「輪」、被災者と支援者で手を取り合う「輪」、将来への希望や思いをつなぐ「輪」、皆で一丸となって復 興に取り組む調和の「和」、そして元気な日本の「和」という想いを込めています。コンサートの出演者や主催者と共に、音楽を通して全国からの支援の輪を広 げていきたいと考えています。
  • ─ どのようなコンサートを開催しているのですか。
  • 来場された方々が一緒に歌って楽しめるように、馴染みのあるポップスを中心に選曲しています。ゲストも太田裕美さん、コーラスグループのサーカス、渡辺真知子さんなど、幅広い年代に愛され続けている方々にご協力いただいています。
    東北の小学校・中学校・高等学校へチューナー・メトロノームを寄贈するといった物資提供のほか、被災地での除染作業、津波で流さ応援の輪が広がっていくように東京でも開催していますが、被災地の方や首都圏に避難されている方々も招待しています。
  • ─ コンサートを開催するにあたって気をつけている点は何ですか。
  • 復興のためには、現地の方が主役となって、一緒にコンサートを作っていくことが大事だと思っています。これまでも、商工会議所、ロータリークラブ、市役所、復興支援団体など、現地の方々と相談しながら作り上げてきました。

時計塔が届ける追悼の鐘

  • ─ 今年も3月11日に日比谷公会堂(東京・日比谷)でコンサートを開催するそうですね。
  • 今年は、“わ”の絆を広めるため、事前に2015本のハチマキを用意し、被災地の皆さんの想いと支援者の言葉を書き込んでいただきました。
    このハチマキがコンサート会場に集まり、被災地の皆さんの心と支援者の心をつなぎます。
    また、その内約200本は、グループ会社の和光のショーウィンドウで、3月11日の1日限りディスプレイされます。同時に、ウィンドウ内のモニターでは、コンサートの模様を中継する予定です。

    和光では、震災の犠牲になった方々への哀悼の意を込めて、3月11日の14時46分丁度に時計塔から追悼の鐘を鳴らします。2012年から続けていますが、毎年この鐘の音を聞くと、多くの方が足を止め、時計塔に向かって黙祷されています。

2014年3月11日、和光のウィンドウで“わ”の応援旗2枚をディスプレイし、モニターでコンサートをライブ中継した。

追悼の鐘を鳴らす和光の時計台(2012年撮影)

銀座の街を守りながら進化を

  • ─ 和光の時計塔は銀座の街の象徴のような存在ですね。
  • 私たちは、和光としてだけではなく、銀座の街としてお客様をお出迎えするという気持ちでいます。街の清掃やヒカリ道への協賛、季節感を演出するウィンドウディスプレイなどに、そのような想いが反映されています。
    マニュアルのない本質的なサービス、品質に対するバイヤーの審美眼など、私たちの真髄と言えるものはこれからも守りつつ、常に新しいものを取り入れて進化していきたいと思っています。

    銀座の街も、オリンピック開催時だけでなく、その先もずっと発展し続けるように、現在に捕らわれずに、さらに銀座らしい街の魅力を増していってほしいと思っています。

セイコーホールディングス株式会社 ブランド推進二部長

八高 浩一

1985年4月 セイコー電子工業株式会社(現セイコーインスツル株式会社)入社
2006年9月 同 総合企画本部・広報グループ部長
2009年3月 同 総合企画本部・秘書広報部長
2010年4月 セイコーホールディングス株式会社 秘書・広報部長
2012年6月 同 コーポレートコミュニケーション部長
2015年2月 同 ブランド推進二部長

株式会社和光 広報宣伝部長

瀬能 亜希子

1990年 株式会社和光入社。
入社以来16年間、時計部において商品企画、バイヤー業務を経験。
2006年よりブティック営業部にて全国のブティックの運営統括業務。
2011年販売推進部にてプロモーション活動に携わったのち、2012年より現職。
現在は広報宣伝活動を中心に販売促進業務にも携わっている。

インタビュアー

杉山 香林

株式会社オルタナ コンサルタント 外資系IT企業や広告代理店、PR会社で、マーケティング・コミュニケーション、および事業戦略、新規事業開発に従事。
2008年に独立、社会的課題解決に向けた啓蒙プロジェクトや、企業とNPOの協働支援、CSR活動のコンサルテイング、実務推進サポートを行っている。

取材・文: 杉山香林 企画・編集:株式会社オルタナ

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