GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

渡仲 晋平×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.69

渡仲 晋平×高嶋 ちさ子

2017.08.01

バイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんがゲストの方に、銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、老舗洋食レストラン「銀座みかわや」の専務取締役 渡仲晋平さんです。

洋食の神髄は「白いご飯と合う」こと

高嶋さん
よく見ると、席と席の感覚がかなりゆったりしていますよね。もうひと席くらい置けそうですよ。
渡仲さん
そこはあえて、詰めていないんです。
高嶋さん
素晴らしいですね。老舗の余裕を感じます。
渡仲さん
ありがとうございます。
高嶋さん
私、日本の洋食って、不思議だなと思うんです。やっぱり日本的というか……。
渡仲さん
そうですね。当初は、フランス料理もイタリア料理もドイツ料理も区別なく、“西洋の料理”として、日本に広がっていきました。それが、時代が進む中で、本場の料理がそのまま入ってくるようになっての“いま”ですから。
高嶋さん
日本独自に進化した部分があるということですか?
渡仲さん
そうですね。外国語だった料理名は日本語っぽくなっていますし、アレンジも日本人向けになっていますから、海外からのお客様だと、出てきた料理がイメージと違い、驚いた顔をするお客様もいらっしゃいます。
高嶋さん
たとえば?
渡仲さん
チキンピカタですね。ピカタはイタリア料理なんですが、当店ではデミグラスソースを掛けているので、出てきた瞬間に「何だこれは?」となるみたいです(笑)。
高嶋さん
日本の洋食は結局、白いご飯と合う西洋料理なんですね。
渡仲さん
そうです。まさにそれが日本における洋食の神髄だと思います。私もそう思っていますし、従業員一同、そう考えていますね。だからお箸も出しますし、お茶も出します。ご飯をお出しするときには漬物も出しています。
高嶋さん
いまや洋食は、家庭でも食べる定番料理ですもんね。
渡仲さん
そうなんです。だからこそ、家庭で食べられる料理とどう差別化するか。それが「銀座みかわや」の課題でもあります。

チキンピカタ

チキンピカタ

本家の銀座はここだけ。これからも煌びやかな街であってほしい

高嶋さん
海外からのお客様も日本全体で増えていますが、銀座にいて変化を感じることはありますか?
渡仲さん
そうですね。インバウンドのお客様が増加し、銀座通りも曜日によっては半分以上が外国の方、なんてこともあります。だからといって、積極的に受け入れたり、拒否するのではなく、あくまで「銀座みかわや」としてこれまで通り、自然体で着実に前進していきたいと思っています。
高嶋さん
現在、メニューの英語表記は、対応されているんですか?
渡仲さん
はい。それだけはしておかないと、お客様もこちらも困ってしまうことになると思い、しています。
高嶋さん
最後に、渡仲さんの思う銀座の魅力は何ですか?
渡仲さん
銀座は、建物に独自の高さ規定があるため、東京でありながら、広い空を臨むことができるんです。私は花を見るのが好きなので、晴れた日に陽射しで輝く花を見かけると、それだけでも、気分が晴れやかになります。
高嶋さん
素晴らしいですね。その感覚、素敵です。
渡仲さん
ありがとうございます。それに“銀座”と名の付くところは全国にありますが、本家の銀座はここだけです。その凄さというのは、言葉では言い表せないものがあります。たとえるなら、富士山に近いオリジナリティだと思います。あの厳かな雰囲気は、どこにもないじゃないですか。だから銀座には、いつまでも煌びやかな街であってほしいですし、そのために、「銀座みかわや」も銀座の一部として今後もがんばり続けていきたいです。

高嶋 ちさ子

ヴァイオリニスト。6歳からヴァイオリンを始め、海外で活躍後、日本に本拠地を移し、全国各地でコンサートを行っている。現在は、演奏活動を中心としながらも、テレビやラジオ番組の出演などでそのキャラクターが評価され、活動の場はさらに広がりを見せている。

高嶋ちさ子オフィシャルウェブサイト

渡仲 晋平

1981年6月生まれ。大学中退後、一般企業に就職。10年間、営業職として会社員を経験したのち、「銀座みかわや」を継ぐべく転職。祖父が「銀座みかわや」の創業者、父は3代目。自身は4代目として、「銀座みかわや」の創業100年を迎えることで大好きだった祖父に恩返ししたいと考えている。趣味は花の鑑賞。花畑を訪れ、花の美しさに触れると、心が癒されるそう。

取材・文:赤坂 匡介 取材場所:銀座みかわや

めざましクラシックス with フレンズ~ベスト・ヴォーカリスト~

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