小坂俊幸×高嶋ちさ子

2011.09.30

バイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんがゲストの方に、銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、小坂不動産株式会社の代表取締役であり株式会社小松ストアー取締役、そして全銀座会代表幹事なども務める小坂俊幸さん。普段は聞けないプライベートなお話も伺いました。

美しい街並みの楽しいイベントは、銀座ならでは。

高嶋さん: 銀座って、大都会でありながら養蜂が行われていたり、ガードレールがなかったり、いろいろと意外なお話があると思うんですが、ほかに何か銀座の魅力などあれば教えていただけますか。
小坂さん: 安全で安心できれいな街であることが銀座の魅力の一つだと思いますが、これは街のみなさんが努力をしているからだと思います。たとえば１日に３回の清掃や、月１回の環境安全運動、震災に強い街づくりをめざしての「銀座震災訓練」、年2回の銀座通り、晴海通りの「一斉清掃」などをしています。
また、景観の美しさを守るために、56ｍ以上の建物をつくらないことに決めたんですよ。また、新しく建つビルや広告は地元がデザインを確認することにしています。こういう取り決めがあるのは、全国的にも珍しいことだと思います。
高嶋さん: お祭りってありますか？
小坂さん: おみこしをかついで、というようなお祭りはないですが、毎年10月下旬に全銀座会の催事「オータム銀座」があります。路上でのお茶会「銀茶会」や、今年は初めて「レストランウィーク」をやります。
銀座には意外な所にいくつかの神社があるのですが、「銀座八丁神社巡り」と称してスタンプラリーもやっています。
高嶋さん: ビルの屋上や小さな路地とかにあったりするんですよね。
小坂さん: そうなんですよ。また、銀座通連合会には、この街にショップを構える世界の国際的なブランドが組織したGILC（ギルク＝Ginza International Luxury Committee）という、国際ブランド委員会があるんです。銀座の将来を考え、よりよい街にするために、各種活動やイベントを行っていただいてます。世界中でハイブランドが集まってひとつのイベントを開催する街は他にはないそうですよ。このGILCが主催して、毎年銀座ジャズフェスティバルというイベントを行っていたんですが、今年は趣向を変えて、東日本大震災の復興支援の為のクリスマスイベントを中央区のご後援をいただき開催する予定です。
希望の翼というテーマで、11/25から銀座通りと晴海通りに、被災地の子供さんたちの描いた絵が飾られた大きな翼のオブジェを置く予定です。

NYやパリのように、銀座にも住人を！

高嶋さん: 小坂さんにとって、銀座とはどういう街ですか？
小坂さん: 私の考える銀座らしさとは、一言で言えば、たたずまいがいいこと、古いものと新しいものが融合していること、本物があることの３つだと思っています。そして、伝統を守るばかりでなく、常に新しいものを取り入れながら発展してきているのが銀座です。一方で銀座にふさわしくない物は自然に淘汰されていくという側面もあります。そういう意味では銀座はとても免疫力の高い街だと思います。
高嶋さん: 今後、どんな街にしていきたいですか？
小坂さん: 昔は銀座にも人が住んでいたんです。たとえば、サンマの焼けるにおいがしてきたり、生活の香りもあったんですよ。とても庶民的で粋な時代だったと思います。今の商業ビルは、低層階が物販、上が飲食店、というのがパターン。でもNYやパリなんかは、下は店舗で上は住宅スペースですよね。
それに、銀座には小さなオフィスがたくさんあるのも特徴で、そこで働かれている方たちもとても大事です。あくまで個人的な意見ですが、これからは銀座にも人が住めるような環境を復活させ、商業とオフィス、そして住居が一体となった賑わいを取り戻していくのも面白いかもしれません。そのためには、銀座らしい住まい方や働き方も研究する必要がありそうですね。