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渡辺 新×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.12

渡辺 新×高嶋 ちさ子

2012.09.03

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんに、ゲストの方をお迎えして銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、多くのアーティストにも愛されている老舗テーラー「壹番館洋服店」の代表取締役社長、渡辺新さんです。

はじまりはフロックコートとの出会いから。

高嶋さん
お店の歴史を教えていただけますか。
渡辺さん
1930年創業ですから、かれこれ80年になりますね。前身は祖父が長野で開業していた呉服屋だったんですけど、その後上京してきて、これからは洋服の時代だろうということで洋服を始めたんです。当時は港町の横浜に、世界の最新のものが荷揚げされていたんですね。そこで、フロックコートという昔のスーツを見た祖父が衝撃を受け、「コレだ!」とビビッときたらしいです。
高嶋さん
それが1930年のことですか?
渡辺さん
1930年のちょっと前ですね。ちょうど親戚が赤坂で洋服屋をやっていたので、そこで修業をして、銀座に店を構えたのが始まりです。
高嶋さん
最初からこの場所だったんですか?
渡辺さん
ええ。木造2階建てで、2階は住居になっていて、そこに職人と我々家族が住んでいました。それが東京オリンピックを機にビルに建て替わったんです。

人の役に立ったり喜んでもらえたりするって嬉しいことなんです。

高嶋さん
今までにどんな方のスーツを仕立ててこられたのですか?
渡辺さん
政財界の方は多いですね。それからうちの特徴というと、アーティストの方が多いんじゃないでしょうか。昔でいうと北大路魯山人さんや藤田嗣治さん、最近でいうと村上隆さんや写真家の杉本博司さんなどです。
高嶋さん
錚々たる顔ぶれですね。
渡辺さん
アーティストの方って、クリエイティブなことをおっしゃるんですよ。またそれが刺激になって、楽しいですね。
高嶋さん
歴史のあるお店ですし、伝統的でクラシカルなイメージがありますが、新しいことや面白いことをされる方が多いんですね。
渡辺さん
実験場として使っていただいているみたいですね。
高嶋さん
ものすごいリクエストも出たりしますか?
渡辺さん
村上隆さんのときは、裏地から創りましたね。(村上隆氏がデザインした)花柄のモチーフがあったと思うんですけど、それをプリントして作ったものと、手刺繍で60色くらいを使って花柄にしたものを作りました。建築家のお客様も多くて、なんでそんなに洋服を仕立てるのが好きなんですか?って聞いたら、建築には仮縫い的なプロセスがないそうなんです。小さな模型からいきなり大きな建築物になるから、洋服の仮縫いという過程がことのほか面白く感じられるようでして。丹下(健三)先生にしても黒川(紀章)先生してもそうでしたね。
高嶋さん
お仕事のやりがいはどういう場面で感じられますか?
渡辺さん
人の役に立ったり喜んでもらえたりするって嬉しいことなんですよ。丹下先生が亡くなられたときには息子さんからお電話をいただきまして、お支度をお手伝いさせて頂きました。壹番館のスーツであの世に行きたいって言っていただけるなんて、仕立屋としてはすごく光栄なことだと思って。この仕事をやっていてよかったと思います。そういう場面に出会えるお仕事をこれからもさせていただきたいですね。

壱番館洋服店の店内には様々な生地が並ぶ。

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