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山本 豊津×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.19

山本 豊津×高嶋 ちさ子

2013.04.01

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんに、ゲストの方をお迎えして銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、日本初の現代美術画廊「東京画廊」の代表取締役社長、山本豊津さんです。

アーティストに囲まれて育った子供時代。

高嶋さん
画廊はもともとはお父さまが?
山本さん
ええ。父が1950年に東京画廊を銀座に開廊して、最初はパリで勉強してきた藤田嗣治や安井曾太郎などの洋画を扱っていました。その後、ちょうど50年代の終わり頃ですね、父がパリへ行ったんですが、その頃ヨーロッパに〝アンフォルメル〟という抽象表現主義の芸術の大運動があったんです。これを見た父は、これからの20世紀は、抽象の時代だと思って日本に帰ってきたそうです。帰国後、日本で抽象画をやろうということで、画廊でヨーロッパの最新の作品を紹介していましたね。若手のアーティストたちや学生時代の三宅一生さんなんかも来ていました。
高嶋さん
それはすごいですね!お父さまはもともと芸術関係のお仕事をされていたんですか?
山本さん
家が貧しかったので、高等小学校を出てすぐに、古美術商のお店に丁稚奉公で働き始めたそうです。その後戦争に行ったんですけど、戦後は財閥が解体されて新しいお金持ちが生まれてくる時代となり、その頃から、古いお金持ちから新しいお金持ちへ、絵を売る仲介を始めたらしいです。
高嶋さん
目利きだったんですね。古美術商もやられていたのですか?
山本さん
いいえ。父は独立してから、近代洋画を美術館に収めていました。大原美術館(岡山県倉敷市にある美術館)へ絵を持って行って、集金したお金を京都で使ってしまう(笑)。
高嶋さん
ええ!?
山本さん
ほら、戦争で生き残ったりした経験があったから、生きているだけでラッキーって思っちゃったんじゃない? だから蓄財しようなんて考えないで、楽しくお金を使おうって考え方だったんでしょうね。だから、子供の頃から自宅には、誰かしらお金がないアーティストが寄宿していましたよ。
高嶋さん
そうなんですか。
山本さん
(アーティストたちが)父にお小遣いもらいに来たり、ご飯を食べに来たりしてましたね。だから、僕も彼らと一緒によく食事していました。岡本太郎さんともご飯食べたりしていましたね。
高嶋さん
それは…強烈ですね(笑)!
山本さん
ええ、変なオヤジなわけですよ、普通の大人じゃないからね(笑)。だからたぶん、ぼくも弟も誰に会ってもびっくりしないのは、子供のときから世界中の不思議な人たちに囲まれていたからでしょうね。

東京画廊内

子供のときに、いい音楽や美術にたくさん触れさせてあげた方がいい。

高嶋さん
アートってちょっと難解なイメージがあるのでですが、何か観賞するヒントはありますか?
山本さん
僕はお客さんに、アートは3つで成立していると伝えているんです。3つとは、「素材」、「技術」、「コンセプト」。どんな素材でできているのか、どういう技術で描いているのか、そして、アーティストは一体何を訴えたいのか、ということです。
高嶋さん
何を訴えたいのか、っていうのは難しいですね。もし、それを読み取ってあげられなかったら、それは観る側の責任なのでしょうか。それとも作品の問題なのでしょうか。
山本さん
では、たとえば大体の日本人は富士山を見るとキレイだと思いますよね?どうしてそう思うのか?それは学習したからなんです。お父さん、お母さんと一緒に富士山を見た時に、ふたりが富士山を「キレイだ」と言った。それが学習になるわけなんです。だからアートも必ずそこに学習があるわけで、その深度によって理解力が違ってくるんです。
高嶋さん
なるほど!それは音楽も一緒ですね。アフリカの原住民にモーツァルトを聴かせても、全然いい曲だと思わないそうです。色々経験し、学習することによって音楽として認識できるようになるんですよね。
山本さん
そうですね。そしてその経験は、環境によって培われるんです。たとえばアボリジニの子供をうちに連れてきたら、私と同じように育つんです。だから、能力じゃなくて環境が大事。たくさんの絵を観て学習することで、アートってとらえ方が違ってくるんです。
高嶋さん
すごい面白いですね。
山本さん
だからなるべく子供のときに、いい音楽やアートにたくさん触れさせてあげた方がいいですね。子供は素直だから体にスッと入ってくるんです。僕は学校でこういうことを教えたらいいなと思うんですよ。

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