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柴田 光治×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.20

柴田 光治×高嶋 ちさ子

2013.05.01

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんに、ゲストの方をお迎えして銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、昭和初期から和装小物屋を続ける「銀座かなめ屋」の三代目店主、柴田光治さんです。

和装小物は、着物のコーディネートの〝かなめ〟です。

高嶋さん
お店の創業は昭和9年と伺いましたが、当時からずっと銀座だったのですか?
柴田さん
日本橋村松町、今でいうと、東日本橋と浜町の間あたりでしょうか、祖父が1934年に開業しまして、その後1945年(昭和20年)に、今のこの銀座の場所に移転してきました。
高嶋さん
〝かなめ屋〟という屋号の由来を教えていただけますか?
柴田さん
〝肝心要(かんじんかなめ)〟の〝かなめ〟からとっているんです。またほかにも、扇の骨を束ねてとじ合わせる元の金具部分も〝かなめ〟と言うのですが…
高嶋さん
それは知りませんでした。
柴田さん
着物姿をより華やかにしてくれる和装小物は、コーディネートの〝かなめ〟であり、欠かせないものだという意味が込められています。

そしてこれにはもう一つ、実は後世(私たち)に向けられたメッセージもあって、山ほどある数え切れない種類、数の品物を、取り揃えて商いをしていくことの大変さ、またそれに携わる人材をまとめていくには、並大抵の努力ではできないよ、という戒(いまし)めの意味も込められていると、創業者の祖父、兼秋から聞いたことがあります。
高嶋さん
なるほど。小物ひとつでコーディネートの印象って変わりますよね。話は変わりますが、お店がある〝見番通り〟は変わった通り名ですが、こちらの名称にも何か意味があるのでしょうか?
柴田さん
“けんばん”というのは、ピアノの鍵盤ではないですよ(笑)。芸者さんの事務所兼お稽古場のことを“見番”と言い、それにちなんで通り名が付けられています。
高嶋さん
そうなんですね。今でも見番があるのですか?
柴田さん
ええ。この通りの7丁目側の角の建物が見番で、今でもたまに人力車が通ります。
高嶋さん
そうなんですか!? 知りませんでした。
柴田さん
父の話では、昔は沢山の人力車が店の前を走っていて、この通り沿いに何十台も停まっていたそうです。その関係もあって、今でも花柳界のお客様にもご贔屓頂いております。

銀座かなめ屋 店内

頑固に伝統だけ守っていてもダメなんです。

高嶋さん
お店を継ぐことを意識したのは、いつ頃からですか?
柴田さん
大学時代に、いずれは自分が家業を継がなくっちゃいけないのかなぁって(笑)。今でこそ、「和」に関連した仕事に従事していますが、当時は着物だって着たことがなかったし、あまり興味もありませんでした(笑)。何か大きなきっかけがあった訳ではないのですが、かなめ屋の三代目としての遺伝子が、ふとあるとき目覚めたのかも知れませんね。
高嶋さん
でも、いざやってみたら面白かった、ということですね。
柴田さん
そうです。でも初めは面白いというか、分からない事ばかりで覚えることに必死で大変でした。でも祖父や父、そしてご贔屓のお客さま方から少しずつ教えて頂き、勉強していく内に、だんだん興味が湧いてきました。やっぱり仕事とはいえ、自分が面白いと思わなければいい仕事も出来ないですし、続けていくことも難しいでしょうからね。

和装小物屋という立場から、日本の伝統文化を後世へと繋いでいくため、今の自分にできることは何か?なんて、今でも日々試行錯誤しています。
高嶋さん
FacebookやtwitterなどのSNSや、ブログもやっていらっしゃいますよね。和装業界では珍しい試みではないですか?
柴田さん
そうですね。ほかの業種と比べるとまだまだ少ないと思います。特にうちのように、実際の店舗を営まれているところで情報発信をしているところとなると尚更です。お店のブログは約3年半前から始めたのですが、今ではWEB上で初めて当店をお知りになられたお客様のご来店が、嬉しいことにとても増えてきました。また、ブログを書き始めて、そうして初めてお越しになるお客様と会話しながら分かったことがあるのですが、着物を着たときにお挿しになるかんざしや、和装小物類を専門に取り扱っているお店が全国的に少なく、お困りになられている方が沢山いらっしゃるということです。まだ着物自体はその地域地域に老舗の専門店があったり、また百貨店に行けば大抵目にすることが出来ますが、かんざしや和装小物類を専門に取り扱っている店舗は非常に少ないんです。
高嶋さん
そうなんですね。
柴田さん
私の書いているブログをご覧になり、わざわざ北海道からお越し頂いたお客様もいらっしゃるんですよ。またご遠方でご来店の難しいお客様でも、ネットを通じてご購入して頂いたりもしております。先日も何と、沖縄にお住いのお客様が、妹様の結婚式にご列席される用にと、かんざしをご購入頂きました。本当に、本当に、嬉しい限りです。
高嶋さん
便利な時代になりましたよね。
柴田さん
そうですね。でも本当は実際にご来店頂き、色々なお品物をお手に取りながらお選び頂きたいと常々思っています。WEB上でご紹介させて頂いているお品物は、店頭にある商品のほんのごく一部に過ぎません。また、商品撮影には、色合いや風合いなど特に注意を払いながら撮影をしているのですが、どうしてもパソコンやスマホなどの画面で見ると、実際とは若干異なって映ったりもします。

また、ネット販売ではどうしてもお顔が見えない分、不安になりがちです。ですから、メールではなるべく対面販売と同様に、お客様との会話を大切にしながら、何度も何度もやり取りをさせて頂いております。そのせいか、もしくは、かなめ屋の暖簾(のれん)を信じて頂いていてのことか、未だに一度もご返品を頂いたことがありません。逆の立場でしたら、見ず知らずのお店で、しかも実際に品物を見ないで写真だけで購入を決めるなんてちょっと怖いですよね。本当に嬉しく思うと共に、恐縮する限りです。
高嶋さん
銀座で創業80年近くの老舗となると、信頼度が違いますよね。かなめ屋さんはべっ甲製品の品揃えが豊富ですが、伝統的なものだけでなく、モダンなデザインのものもあるんですね。
柴田さん
最近は洋装にも合うような、髪飾りも多く取り揃えております。また、従来のかんざしでも、付属の装飾が取り外せて、お洋服の時にはペンダントやブローチとしてもお使い頂けるようなかんざしもご提案しています。

今は昔と違って洋服の時代です。日本の大切な伝統文化を次の世代へと伝えて行くためにも、昔ながらの伝統を頑固に守るところは守っていく、しかしそれだけではなく、現代のライフスタイルにあったモノ作りも提案して行かないとダメだと思います。思い切って変えるところは変えていく、その見極めが大変難しいところですね。

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