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株式会社スマイルズ 代表取締役社長 遠山正道さん

シリーズ銀座×人 VOL.2

株式会社スマイルズ 代表取締役社長 遠山正道さん

2011.10.14

銀座と縁のあるゲストをお招きし、外から見た銀座をテーマに、その魅力やこれからの銀座を自由に語っていただくこのコーナー。第二回目の銀座×人は、株式会社スマイルズ代表取締役社長である遠山正道さん。現在53店舗を有する「スープストックトーキョー」、ネクタイブランドの「giraffe」、リサイクルショップの「PASS THE BATON」を手がける話題の人物です。敏腕経営者として名高い遠山さんは、気どらない素顔と洗練されたオーラを持つ情熱の人。センス溢れる個性的なファッションに身を包み、思わず引き込まれる魅力的な視点に基づいた話ぶりがとても魅力的でした。

銀座という街は敵もタフだし、やりがいがある場所。先代からバトンを渡されたと思ったら、あとはひたすら走ればいい。

女性がスープを飲んでいる姿が浮かんだのがはじまりでした。

元々は三菱商事の社員だったんです。10年間サラリーマンをやっていたんですが、このまま人生を終えたら自分は満足できないだろうなあというのがあって。それでもし自分で何かやるなら、食などの生活に近いものをやろうと。
その後ちょうど首尾よく、三菱商事の社内ベンチャーとして、スープストックトーキョーの案を出すことになるんです。ある日ふと、女性がスープを飲んでいる姿が浮かんで、『スープのある一日』というテーマを物語にして企画書にしたんですよ。その頃自分の中で『低投資・高感度』というキーワードがあって、投資は少なくてもセンスでカバーすればいいなと。看板も扱っているものもシンプルにしたかったんです。当時のファストフード店ってすごく派手で、街並みにそぐわないなと違和感を抱いていましたから。
そのあとに作ったのがネクタイを扱う「giraffe」。まったく違う業種なんですけど、これもサラリーマン時代の疑問からですね。サラリーマンの人たちって仕事終わると、飲み屋でグチっていることが多い。そうじゃなく、もっともっと自分に自信を持ってほしかったんです。人に首を絞められるのではなく、自分で自分の首を絞めようよ、と。giraffeはキリンという意味ですが、一人ひとりが高い視点を持てば世の中が良くなっていくのではないか、という想いが込められています。
次に手がけたのが、「PASS THE BATON」。丸の内ブリックスクエアがオープンするにあたり、何か新しいことをやらないかとお誘いいただいたのがきっかけでした。考えた末に、このモノ余りの時代にリサイクルショップっていいんじゃないかと。丸の内でリサイクルショップというギャップもよかった。でも実際行っていただくと、ヨーロッパのアンティークショップのような雰囲気なんですよ。
私は発想する作業がすごく好きなんですが、それを形にしていくスタッフが大変ですよね(笑)。

思い出のつまった銀座の老舗バー「クール」を守りたかった。

銀座にまつわる思い出といえば、老舗スタンディングバーの「クール」でしょうね。銀座の3大バーとして有名で、父が独身時代から毎日のように通っていたお店でした。毎年大晦日にはお店に「よし田」の年越しそばを出前してもらって、家族で食べるのが習わしだったんです。大人になってからは、なんとなく自分にはちょっと敷居が高いなと思ってしまって、なかなか行けなかったんですけどね。ところがある日、そこのマスターの古川緑郎さんが、88歳を機に閉店するという話が耳に入って。しかもその後はラーメン屋になるという噂だった。
思い出が詰まったこの佇まいが失われてしまうのが忍びなくて、クールに思い入れがある15人が集まって出資し、お店を買い取ったわけです。そして開店させたのが、現在の「銀座ストック」です。外装のレンガ、カウンターや内装など、クール時代の面影を残しながらビストロとして生まれ変わりました。
私も顔を出しますが、行くとよく注文するのが、焼きなすのサラダや鴨のコンフィ、かぶとりんごのサラダ。クール時代のお客さんも来てくれたりするんですよ。

知らないお店に飛び込むのが好きなんです。

銀座という街は歴史があって、袖看板の顔つきがいいお店が多いと思っています。銀座ストックで食事をしたあと、袖看板を見て品定めをしながら、1人でふらっとこの界隈の知らないお店に飛び込むのが好きなんです。そうすると大体、「よくこの扉を開ける勇気がありましたね」とか、「飛び込みは8年ぶりだよ」とか言われることが多い(笑)。でも、あの扉を開けるときの緊張感がまたいい感じで、こっちも挑戦しがいがあるんです。過去の飛び込み経験を総合すると、私にとっての理想のお店は、昔美人だったろうなと思わせるママがいて、日本人なのになぜかジョニーって呼ばれている風変わりなマスターがいる(笑)。「あら、また来たの?」ってちょっとほっとかれるくらいの感じでいいんです。丸い小窓から銀座の夜景が見えて、生バンドをやっている人もいて……。まあ、まだ出合ってないんですけどね(笑)。

バトンを渡されたと思ったら、あとは走るしかないんです。

誰でも新しいことをするって不安だと思うんです。大切なのは、会社や社会にとって意義のあることや、自分にとって何か必然性があることをやることだと思います。ここを間違えて単に儲かるからという理由で始めると、絶対にふんばれない。まず、最初からうまくいくなんてことはないんですから。私の事業も、5年、8年経って、やっと軌道に乗ってきた。それでも頑張れたのは、自分にとっての譲れない、どうしてもやりたいという理由があったからです。しんどくてうまくいかないときこそ、理想を高く持って頑張ってきました。
銀座ということで考えると、歴史と伝統がある老舗のお店が多いですよね。だから世襲は必然性で、跡取りとしてはイヤイヤかも知れないけれど、私からしてみると羨ましいくらい。だって、理由がありますからね。先代からバトンを渡されたと思ったら、あとはもう走るしかないんです。前を向いて次の人に向かって走って、またそのバトンを渡すしかない。銀座という場所は、同じリレーでも敵もタフだし、やりがいもある。そういう意味でもいい場所だと思います。

遠山正道

1962年東京生まれ。株式会社スマイルズ代表取締役社長。
三菱商事株式会社初の社内ベンチャーとして㈱スマイルズを設立。
Soup Stock Tokyo」、ネクタイブランド「giraffe」、新しいセレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON.」の企画・運営を行う。近著に『成功することを決めた』(新潮社)がある。.

株式会社スマイルズ
銀座ストック

取材・文:岡井美絹子  取材場所:銀座ストック

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