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株式会社ミキモト ディスプレイデザイナー 河合知惠

シリーズ銀座×人 VOL.4

株式会社ミキモト ディスプレイデザイナー 河合知惠

2011.12.05

銀座と縁のあるゲストをお招きし、外から見た銀座をテーマに、その魅力やこれからの銀座を自由に語っていただくこのコーナー。第四回目の銀座×人は、株式会社ミキモトの制作課に勤める河合知惠さん。国内外の店舗デザインを担当するほか、今年は、銀座の冬の風物詩となっているミキモトのジャンボクリスマスツリーの責任者として装飾を手がけました。銀座を訪れる誰もが一度は目にするあのツリーには、どんな歴史があり、どんな想いが込められているのか、制作にまつわる話を語っていただきました。

「銀座に来てよかったなぁ」という温かい気持ちになってほしい。ミキモトが最初の1本から、ジャンボツリーに託す想いです。

銀座の街と人々の心に潤いを届けたいという想いがありました。

再来年でミキモトは120年になりますが、創業以来ずっと銀座に育ててきていただいたという気持ちがあり、その恩返しを形にしたものが1976年からスタートしたジャンボツリーです。クリスマスシーズンは緑がない季節なので、銀座の街と来ていただく方の心に潤いをお届けできればという想いで始まりました。銀座に来ていただく方に、ツリーを見て疲れが吹き飛んだとか、元気がもらえたとか、そんな温かい気持ちで帰っていだだけたらと思います。
また、ミキモトのメイン商品である真珠は自然が育んだものなので、自然との共生というのも、企業としての使命でありテーマです。根つきのもみの木にこだわっているのも、クリスマスが終わったから捨てるというのではなく、新しい場所で生き続けてほしいから。だから毎年12/25が終わると東京近郊の公共施設へ寄贈し、それぞれの場所でまた愛されて育てられています。ここを離れても、そんなミキモトの精神が受け継がれていくといいなあと思います。
私も学生時代、この時季に銀座に遊びに来るとミキモトのツリーを楽しみにしていたんです。その頃からこういう仕事に興味を持っていて、現在はその夢が叶ったので嬉しいですね。

震災復興の願いを込めて、今年のコンセプトは〝子供たちの夢〟。

今年のジャンボクリスマスツリーのコンセプトは〝子供たちの夢〟。赤と白を基調にした約3000個のLEDイルミネーションと、子供たちの将来の夢を記した35個のガラス製のメッセージボールのオブジェでツリーを彩りました。ミキモトの真珠に見立てたガラスボールはクリスマスらしい赤のラインを入れ、中にはLED電球も入れています。毎正時には音楽が流れるのですが、このガラスボールだけ光るように演出し、子供たちの夢の花が咲く、というイメージにしました。ただこれではすべてのメッセージが読めないので、本店の入り口には子供たちそれぞれの夢が書かれたツリーの絵本も飾っています。
実は今年は大震災のこともあり、ツリーをやるかやらかないか、ゼロベースのところから議論しました。しかし、こういうときだからこそ「少しでもミキモトのジャンボツリーで元気になってもらいたい」という強い想いがあったんです。いまも震災の影響や低迷が続く景気など、世の中は不安な状況ですが、社会全体の宝である子供たちが希望を持って生きていける世の中にすることが大人の役目だと思います。同世代の子供たちには夢の分かち合いを、大人たちには自分の子供時代を懐かしんでもらえるように……。子供がハッピーだったら大人もハッピーだし、日本全体が元気になれると思います。今年のクリスマスツリーにはこんな思いを込めています。

銀座の夜を彩る、今年のジャンボクリスマスツリー。

ガラス製のメッセージボールには、
子供たちの夢が綴られています。

ミキモト本店の入り口に設置された、子供たちの夢が書かれたツリーの絵本。

お客様の歓声が本当にうれしくて、すべての苦労を忘れさせてくれるんです。

ツリーの設置と飾り付けは、深夜3日間をかけて完成させるのですが、1日でも作業が遅れたら全てが台無しになってしまうのでかなりのプレッシャーがありました。とくに、もみの木のトラックでの搬入作業が大変なのですが、街のみなさんのご協力のおかげで今年も無事に作業を終えることができ、本当に感謝しています。深夜の搬入時には大型のクレーン車を使うため、近隣の皆様にご不便をおかけしてしまうのですが、皆様からもご理解とご協力を頂いて、毎年トラブルがないんですよ。これは本当にすごいことだと思います。近隣のお店の方々も当然お忙しい時期のはずですから。こういったことも、銀座の街の一体感と品のよさの表れだと思います。
今年はもうひとつ、葛藤した部分がありました。ミキモトのツリーは、高さ約10mの根つきのもみの木で、暖かい雰囲気を演出できる白熱球を使うという暗黙の伝統があります。ですが今年のツリーは、白熱球ではなくLED。エネルギー問題のこともあり、時代的にはLEDを使うべきだと思ったのですが、これまで続いてきた伝統を変えていいのかどうか、毎年ツリーを見に来て下さるお客様の期待を裏切るのではないか、最後まで迷った部分でした。白熱球に近いものを探して、最終的に使用を決めたLEDは点灯式の2週間前に見つけたものです。点灯時間も短くした結果、電力は今までの1/10以下になり、自分でも驚いています。
でも、いろいろなことがあっても点灯式に来て下さるお客様の歓声が本当にうれしくて、すべての苦労を忘れさせてくれます。

訪れる人にとっていつまでも憧れの街であってほしい。

私の銀座の思い出というと、子供の頃、母に秋休みと春休みに東京に連れてきてもらって、当時8丁目にあった千疋屋に行ったことですね。ここで、プリンアラモードを食べることが1番の楽しみでした。だから大人になってもプリンアラモードは大好きです。母も今でも買い物というと銀座に行きたいと言うので、よく一緒にぶらぶらすることが多いですね。母にとって銀座は憧れであり、変わらぬ魅力を持ち続けている街なのだと思います。こうして大人になっても、親子で遊びに来られる街は素敵ですよね。NYの五番街、ロンドンのボンドストリート、日本なら銀座というように、訪れる人にとっていつまでも憧れの街であってほしいです。

河合 知惠

株式会社ミキモト ディスプレイデザイナー。 米国ペンシルバニア州フィラデルフィア、HARCUM JUNIORCOLLEGEにてデザインを学び、1992年(株)ミキモト入社。以来、ディスプレイデザインに携わり、ミキモト本店クリスマスツリー、ミキモト本店、GINZA2におけるクリスマスデザインを始め、国内外の新規出店の店舗デザインなどを担当している。

株式会社ミキモト

取材・文:岡井美絹子  取材場所:株式会社ミキモト本店

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