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月刊ソトコト 統括編集長 小黒一三

シリーズ銀座×人 VOL.5

月刊ソトコト 統括編集長 小黒一三

2012.01.16

銀座と縁のあるゲストをお招きし、外から見た銀座をテーマに、その魅力やこれからの銀座を自由に語っていただくこのコーナー。第五回目の銀座×人は、月刊ソトコト 統括編集長の小黒一三さん。常に時代のキーワードとライフスタイルをリードし、さまざまな分野で活躍をされています。
そんな小黒さんに、レストラン出店のきっかけ、これからの銀座に対するメッセージをお伺いしました。

新しいことが好きで、人と同じことはやりたくないからさ、
銀座も変わらなきゃいけない部分もあると思うんだよね。

環境問題ってビジネスチャンスだと思ったんだよね。

「ソトコト」を創刊したのは1999年のことだったんだけど、まだその頃はLOHAS(Life of healthy and sustainability)なんて価値観も浸透してなかったんだよね。僕にとっては環境問題って、新しいライフスタイルが生まれるから、ビジネスチャンスだと思ったんだ。だけど時代的には、まだまだ理解してもらえなかった。エコファッションマガジンだと言っても、エコとファッションはまったく逆のものじゃないかってね。でも、僕の理屈はこう。ヨーロッパのラグジュアリーブランドの物は大切に長い間使われて、道端に捨てられてないじゃない?
今になって、読みが当たったねって言われるけど、当時すでにプリウスは出ていたわけだから、全然不思議じゃないよね。環境がファッションになるし、アーティストたちのメッセージも出していたし。ファッションや音楽やっている人たちに、「環境は君たちのテーマなんじゃないの」って言いたかった。環境コンシャスってかっこよくおしゃれなんじゃないかと思うよ。
今回の震災で「ソトコト」でいつもやっている、ボランティアやNPOやNGOが当たり前の選択肢になった。つながりとか絆を大切に考えるようになったよね。仕事以外の人生で、人を助けるということが当たり前になった。まあ、僕はあまり当てはまらないかもしれないけど(笑)。

巴馬で暮らす人たちの生活が、今一番かっこいい生き方。

巴馬(バーマ)ロハスカフェを作ったのは、ある中国人との出会いがきっかけだった。昔、イタリアとかニューヨークのクリエーターを取材していた頃に、彼らの自宅に行くとアフリカに旅行したときの写真が飾ってあって、かっこいいなあと思ったんだよね。それで20年くらい前にケニアにホテルを作ったんだけど、そこに中国の裕福な人たちがたくさん来るようになった。そんななか、このホテルを見て驚いたある中国の実業家が、僕を訪ねて来たんです。成功した人が最終的に考えることは〝長生き〟(笑)なんだよね。中国に〝世界5大長寿の里〟として注目されている、100歳以上の人が元気に働く巴馬(バーマ)という桃源郷のようなエリアがあるんだけど、昔から中国では有名な保養地でね。鍾乳洞からマイナスイオンが出ていて、ここで太極拳をやるとがんや糖尿病の人が治ったって話もあるほど。この村では3世代家族みんなで仲良く暮らすのが当たり前で、お年寄りも若い人に迷惑かけてなんぼって感じ。それが今一番かっこいい生き方だと思ったんだよね。その僕を訪ねてきた中国の実業家は、この村で病院つきのリゾートホテルを作りたいと思ったらしいんだけど、現地の少数民族にも喜んでもらえる環境にしたかったらしいんだよね。僕のケニアのホテルでは、周辺住民にも水を分けたり、学校を建てたりしていたから、彼の理想通りだったみたいで、僕と一緒になんかやりたいって言ってくれて。それで始めたのがこの巴馬ロハスカフェ。東京で、現地の人の食文化に触れてもらえたらと思って、村の人たちが毎日食べている〝火麻〟を使った料理を提供しています。
銀座らしい洗練された雰囲気とお手頃な価格ということもあって、お客さんにも好評なんですよ。基本僕はサービス精神が旺盛だから、人に喜んでもらえるのが一番うれしいんだよね。

巴馬ロハスカフェ店内

誰も見たことがないフェルメール展になったんじゃないかな。

新しいことが好きで、人と同じことはやりたくないからさ(笑)。今度は同じビル(銀座ソトコトロハス館)の中で、2012年1月20日から7月22日までの期間限定なんだけど、生物学者の福岡伸一さんに監修してもらって「フェルメール・センター銀座」(www.vermeer-center-ginza.com)を開館することになっているんだよね。
これは、フェルメールの故郷であるデルフトのフェルメール・センターとの提携で実現したんだけど、本物の絵を借りてこようと思ったら、1枚で億単位になっちゃうから、数枚しか飾れないでしょ。それじゃあフェルメールの展覧会とはいえないから、普通は関連のあるほかの画家の作品も一緒に飾ったりして、なんとか体裁を整えるわけ(笑)。でも、それはイヤだなと思ったんだ。それで、フェルメールがどういう人物だったのか、ストーリーをみせたら今までにないユニークなものになるんじゃないかなって考えた。
実はフェルメールの絵は、3分の1くらい楽器が描かれているんだよね。じゃあ、フェルメールって音楽を聴きながら絵を描いてたんじゃないかなって思って、音楽家の久石譲さんに、フェルメールが聴いていたであろう音楽を書きおろしてもらったの。それから、絵がどのアングルで描かれたのかもわかるよう、フェルメールのアトリエを再現したりもした。あと、展覧会といえば音声ガイドだけど、これも普通じゃつまらないからね。今回は、フェルメール役を俳優の小林薫さん、フェルメールの娘役を女優の宮沢りえさんにやってもらって、37枚の作品全てに物語をつけているんだ。
飾っているフェルメールの絵はレプリカなんだけど、こうして〝本物の応援団〟にサポートしてもらうことで、本物を見た時の感情に近づけるんじゃないかな。誰も見たことがないフェルメール展になったと思うよ。

銀座も変わらなきゃいけない部分もあると思うんだよね。

中国人からみると、銀座ってパリなんかよりも魅力的で、スペシャルな街らしいんだよね。でも、銀座も変わらなきゃいけない部分もあると思うんだよね。日本橋も再開発で生まれ変わったでしょ。
一番ポテンシャルがあると思うのは、銀座の空きビル。とくに飲み屋街は空いている所が多くて、歯抜け状態になっていてもったいない。古くから続くお店と、若いクリエイティブな人たちが店をやって共存していけばいいんじゃないかな。色っぽい夜の店にも同じ事が言えると思うけどね(笑)。

小黒 一三

1950年東京都生まれ。マガジンハウスに入社し、『月刊平凡』『ブルータス』などの雑誌編集に携わる。
1990年に退社後、株式会社トド・プレス設立。1992年、ケニアのマサイマラに、自らがプロデュースしたアフリカ人アーティスト、サイモン・ジョージ・ムパタの名前を冠したリゾートホテル「ムパタ・サファリ・クラブ」をオープン。1999年、環境ライフスタイルマガジン、『月刊ソトコト』創刊。スローフード、スローライフ、ロハスなどのライフスタイルをいち早く日本に紹介し、ラジオや雑誌等のメディアを通じて、新たな価値観の提案をしている。最近では、2011年にソトコトの増刊として、誰もつくったことのない「まご」雑誌、「孫の力」を発刊している。

月刊ソトコト
孫の力
巴馬ロハスカフェ
フェルメール・センター銀座
J-waveラジオ「LOHAS TALK」

取材・文:岡井美絹子  取材場所:巴馬ロハスカフェ

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