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株式会社イデア クレント 代表取締役 篠塚正典

シリーズ銀座×人 VOL.6

株式会社イデア クレント 代表取締役 篠塚正典

2012.10.15

銀座と縁のあるゲストをお招きし、外から見た銀座をテーマに、その魅力やこれからの銀座を自由に語っていただくこのコーナー。第六回目の銀座×人は、株式会社イデア クレントの代表取締役の篠塚正典さん。篠塚さんは、長野五輪のシンボルマークをはじめ、有名企業のロゴマークや商品パッケージのデザインを手がける、第一線で活躍中のデザイナーで、9月30日にスタートした銀座のフリーWi-Fiサービス「G Free」のロゴを制作していただきました。今回はその制作に関するお話や、長野五輪シンボルマークの制作秘話、銀座に対するメッセージをお伺いしました。

銀座のように、誰もが憧れる街というのはなかなかない。他の街とは一線を画す存在であってほしいですね。

絵を描いたり、モノを作ったりするのが好きな子供時代

小さい頃から絵を描いたり、モノを作ったりするのが好きでしたね。誰に言われるでもなく、よく絵を描いている子供でした。中学生になってポスターカラーやレタリングを学んだんですが、印刷したようなポスターが自分で作れることにすごく感動したんです。それからは率先して、生徒会や運動会のポスターを作ったりしていました。それで初めて賞をもらったのが、美術の時間に描いた防火ポスター。朝礼で表彰されて喜んでいましたね(笑)。
それから高校のときだったかな。昔、松本ちえこっていうアイドルがいたんですけれど、LPジャケットのデザインを一般募集していたので、雑誌から切り取った写真でコラージュしたデザインを応募しました。これが1位ではなかったんですけど入選して、LPジャケットの裏に僕のデザインしたものが載ったんですよ。たぶん、世の中に出た最初の作品だと思います。

1000点以上の案から選ばれた長野五輪のシンボルマーク

高校に入ったときから美大に進もうと思っていたので、多摩美術大学に進学してグラフィックデザインを専攻しました。そのときに出会った教授の薦めで、卒業後はカリフォルニアの美術大学アートセンター・カレッジ・オブ・デザインに留学したんです。そのままアメリカで働くことになって、前から入りたかったデザイン会社「ランドー・アソシエイツ」に就職することができました。2年ほど働いたあと東京支社に転勤し、そこで長野オリンピックのシンボルマークのデザインを手がけることになったんです。

こういう大きなプロジェクトになると、世界中から100人以上のデザイナーが参加して1000点以上の作品が集まるんです。僕も2か月ほど費やしてデザインを考えました。世界中のランドー・アソシエイツの社内選考を繰り返して、12案だけが長野オリンピック冬季競技大会組織委員会への第一回プレゼンに提出されました。次に7案、4案、3案と絞られていくわけですが、最終まで残るとさすがに緊張しましたね。オリンピックだったら3位まで賞がもらえますが、僕の場合は1位にならないと採用されないので(笑)。だから、自分が選ばれたと聞いたときは飛び上がりたいくらい嬉しかったです。長野五輪のシンボルマークのモチーフは、冬のオリンピックなので〝雪の結晶〟、そして〝人の輪〟と〝雪の上に咲く花〟です。雪の結晶が六角形だから花びらは6枚にし、そして花びら1枚1枚は、競技をしている選手の形を表していて輪になっています。カラーは黒を除くオリンピックカラー4色と、日本を象徴する色である紫、長野県の色のオレンジを入れました。あまり日本ということを意識せず、グローバルなイメージで創ろうと思っていたので、日の丸も入れませんでしたが、外国人からは「日本らしいデザインだ」と言ってもらえたのが印象的でした。

老若男女にわかりやすくて、誰からも好まれる「G Free」のデザインを

デザインをするときに心がけているのが、10人中10人が「いい」と思ってくれるようなものを創ろうということです。たくさんの人に発信していかなくてはならないので、わかりやすくて、老若男女誰からも好まれるデザインにしたいと思っています。そういう意味でも、かなり客観的に自分のデザインを見ることを徹底していますね。

9月30日からスタートする銀座の「G Free」というフリーWi-Fiサービスのロゴを手がけましたが、大切にしていることは同様です。銀座の「G」から無線のマークを発信しているデザインですが、誰が見ても銀座でWi-Fiが使えるんだなということがわかるよう、なるべくシンプルにしました。僕のところに依頼のお話がきたのは、『銀座 伊東屋』の社長である伊藤明さんからでした。実は、アメリカの留学時代に学校(アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン)が同じで、前から仲が良かったんです。今でも年に何回か会って、食事に行ったりしていますね。
「G Free」に関する情報はこちら

風情があって、歴史もあって、ちょっと節度のあるところが銀座の良さだと思う

僕は江東区の生まれなんですが、銀座には小さい頃から親に連れられてよく来ていました。小学校のときにはボーイスカウトもやっていたんですが、銀座支部だったので、毎週のように銀座に行っていましたね。銀座でどんなお店に行っていたかというと、伊藤社長と知り合う前から、それこそ小学生のときから伊東屋には通っていました。上から下までうろうろして、1日中遊んでいましたね。それから、今はもうなくなってしまいましたが、洋書屋さんがたくさんあったので、よくのぞきに行っていました。社会人になってからは、オフィスから近いこともあって食事はもっぱら銀座ですね。最近はスペインバルによく通っていて、カウンターメインのこじんまりしたお店なんですが、居心地がよくてタパスもワインもおいしいんです。

僕は江戸っ子なので、下町の気どらない雰囲気が好きなんですが、銀座もそういう下町っぽい雰囲気が残っているところがいいなと思います。それでいて、誰もが憧れる街というのはなかなかないですよね。でもここ数年は、新しいものが無用に入ってくる状況がもったいないなと思うこともあるんです。どんどんモダンになってくると、他の街と横並びになってしまうんじゃないかと。僕自身は落ち着いていて大人っぽいイメージの銀座が好きなので、他の街とは一線を画す存在であってほしいですね。やはり、銀座にしかない風情があって、歴史もあって、ちょっと節度のあるところが良さだと思うんです。なので、昔ながらの雰囲気を残していってほしいですね。

篠塚 正典

1960年生まれ。株式会社イデア クレント代表取締役、クリエイティブディレクター。
多摩美術大学卒業後、米国へ留学。アメリカの美術大学アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン卒業後、サンフランシスコに本社を持つ世界最大のC.Iデザイン会社ランドー・アソシエイツにてデザイナーとして活躍。
1993年には、1998年長野オリンピックのシンボルマークをデザイン。
1995年に独立。CI、BI、パッケージデザインを手がけるほか、大学や専門学校で講師としても活躍中

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取材・文:岡井美絹子  取材場所:株式会社イデア クレント

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