GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

井田 裕二×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.60

井田 裕二×高嶋 ちさ子

2016.11.04

バイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんがゲストの方に、銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、明治創業の和菓子店「銀座菊廼舎」の代表取締役、井田裕二さんです。

登録商標「冨貴寄」は、大正後期以来のロングセラー

高嶋さん
明治時代から続くお店だそうですが、最初はどこで創業されたんですか?
井田さん
創業は1890年で、初代は歌舞伎座のそばで開業したようです。現在の場所に移転したのは、昭和20年代ですね。
高嶋さん
創業当初から和菓子屋さんだったんですか?
井田さん
はい。最初は、小麦粉から作った歌舞伎煎餅というものを、歌舞伎俳優さんの紋を入れて売っていたそうです。今のような和菓子店の原型を作ったのは、私の曾祖父にあたる2代目だと聞いています。
高嶋さん
じゃあ、井田さんは5代目なんですね。昔から続くお菓子もあるんですか?
井田さん
2代目が考案した、登録商標「冨貴寄(ふきよせ)」は、昭和初期以来のロングセラーで、うちの看板商品です。実は今日、特別に高嶋さんオリジナルの冨貴寄を作ってきました。
高嶋さん
(差し出された冨貴寄を見て)わー、見た目もキレイで、すごく素敵! 私のアルバムタイトルまで!?わざわざ作ってくださったんですか?
井田さん
そうです。最近では、お客様オリジナルの「冨貴寄」もオーダーを受け付けているんです。今回は、春の桜、夏の貝殻と金魚、秋の菊、初春の梅……と四季のモチーフを詰め合わせた特撰缶を高嶋さん用にアレンジしました。金魚は通常2匹なんですが、高嶋さんには息子さんが2人いらっしゃるとのことで、家族4人をイメージして、特別に4匹入っています。
高嶋さん
嬉しい! ありがとうございます。あとでじっくりいただきますね。
高嶋さん用 オリジナル冨貴寄

高嶋さん用 オリジナル冨貴寄

全国の郷土菓子を粋でいなせな江戸流に

高嶋さん
そもそも「冨貴寄」って、どういうお菓子のことを指すんですか?
井田さん
もともと、茶事に欠かせない干菓子を何種類も取りあわせたものを「吹きよせ」と言うんですが、うちの登録商標「冨貴寄」は、2代目が全国から集めた郷土菓子を、素朴なおいしさはそのままに、上品に小型化しました。また、粋でいなせな江戸のお菓子らしく、色合いにもこだわっています。
高嶋さん
なるほど。この漢字を使ってらっしゃるのは、銀座菊廼舎さんだけなんですね。冨を寄せるだなんて、めでたくて、贈り物にもぴったりですね。
井田さん
そうですね。通年商品以外にも、春夏秋冬で中身が変わる季節商品がありますし、新春にはその年の干支が描かれたお菓子入りの「冨貴寄」も発売されるので、いつ来ていただいても新たな出会いがあるはずです。
高嶋さん
以前、ある人気アイドルグループが紅白歌合戦の差し入れに「冨貴寄」を配ったことでかなり話題になったそうですが、反響はいかがでしたか?
井田さん
うちはまったく宣伝していなかったんですが、すごかったですよ。どうも、年が明けてから紅白の舞台裏がテレビで放映された際に、「冨貴寄」が映ったらしくて。その後、たくさんの方から問い合わせをいただきました。年配の方だけでなく、若い方たちにも銀座菊廼舎の和菓子を知っていただけたのはありがたかったですね。
冨貴寄 秋色缶

冨貴寄 秋色缶

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