CSR

株式会社クイーポ

Ginza×CSR Vol.21 株式会社クイーポ

人と自然を愛し、『原点回帰』目指す

2015.08.26

「銀座×CSR」第21回で紹介させていただくのは、皮革バッグを中心としたライフスタイルブランド「genten」です。「環境に配慮する」「限りある資源を大切する」「長く愛着を持てるモノづくりを目指す」というgentenの3つの基本理念についてMD統括本部本部長の岡田育美さんに話を伺いました。

  • ─ 御社は今年で50周年を迎えられるそうですね。創業時からどのような思いを大切にしてこられたのですか。
  • 当社は「自然を愛し、人を愛し、ロマンを求める」という企業哲学を持っています。自然と人間との関わりあいや伝統文化を大切にしたいという創業者である現会長の思いが、現在に至るまで事業活動に反映されてきました。
  • ─ 特に、「genten」は、そういった企業哲学の象徴的ブランドであるように感じます。
  • 当社では、ランバン、アナスイなど、ライセンス事業も多数行っておりますが、そういった事業形態では、自社の企業哲学を直接反映させにくい面があります。

    そこで、環境に配慮し、限りある資源を大切にしながら、長く愛着を持てるモノづくりを実現する自社ブランドを立ち上げようと、1999年にgentenが誕生しました。
  • ─ gentenは「原点回帰」という意味だそうですね。
  • gentenの立ち上げ当時は、まさに新しい世紀を迎える高揚感に包まれ、大量生産、大量消費全盛の時代でした。しかしながら、公害問題や自然破壊を目の当たりにしていた会長は、次の世紀もこのままで良いはずがない、原点回帰して人の暮らし方を少し変えていかないと地球は良くならないという思いを、本ブランドに込めたのです。

細部まで天然素材にこだわる

  • ─ gentenブランドには、どのようにその企業哲学が反映されているのでしょうか。
  • 枯渇していく石油などの資源を極力使わず、細部に至るまで天然の素材にこだわっています。

    ハンドバッグ市場では、ほとんどのメーカーが水質汚染や土壌汚染が懸念されていた「クロム」という重化学金属を使っています。gentenでは、植物性タンニンなめしの革を多く使っています。

    縫う糸にも「ビニモ」という石油由来の糸が使われていることが多いのですが、gentenでは、縫う糸も麻やコットンなどの天然繊維を使い、金具も鉄、真鍮などの土に還る素材をメインマテリアルとして使用しています。糊もタピオカから摂れるタンパク質を使っているのですよ。
  • ─ クロムなめしの革とタンニンなめしの革では、どのような違いがあるのですか。
  • クロムなめしは時間が経つと劣化してしまうのですが、タンニンなめしは劣化ではなく、「味わい」として経年変化してくれるという特徴があります。

    経年で劣化するのか、味わいに変わるかで、商品の寿命が変わってくるのです。

    すぐに使えなくなるような製品を作るということは、限りある資源の無駄使いになり、また、愛着が生まれて長く手元に残していただくことにも繋がりません。

    味わいが増していく製品は、自分で手入れをしながら長く使っていこうという気持ちにさせてくれるものです。その気持ちを支えるアフターサービスも充実させています。

    モノに愛着を持っていただく。それが一番お客様に伝えたいことです。

伝統技術を守り続ける

  • ─ 一般的にクロムなめしが主流なのはコストや効率性の問題なのでしょうか。
  • そもそも革製品は主に植物性タンニンでなめされていました。ところが、2回の世界大戦を経て、ドイツとアメリカで軍人の靴を作るために大量に革が必要になったのです。そこで、日数を短縮できて大量生産できるクロムなめし技術が飛躍的に伸びたと言われています。
  • ─ 新しい合理的な技術によって100年もしない内にもともとあった技術が廃れてしまったのですね。
  • 私たちの祖先には何百年と守ってきたタンニンなめしの製法があったにもかかわらず、少しの間にクロムに取って代わられてしまいました。

    こうして技術は廃れ、その技術を持っていた職人も減り、革らしい味のある製品もなくなっていってしまう。そこで、イタリアのタンニンなめし協会がこの製法を守ろうという運動を起こしました。

    genten立ち上げの時、その協会長がコンセプトに共感してくださって、革を供給してくれるようになったのです。
  • ─ gentenが植物性タンニンなめしの革を使い続けているのは、私たちが古くから持っていた技術を途絶えさせたくないという思いも含まれているのですね。
  • 環境だけでなく、伝統と文化も大事にしたいと思っています。

    東京・市ヶ谷本社の「クイーポ資料館」では、江戸時代から明治、大正時代の袋物のアンティーク製品を約300点ほど貯蔵しています。

    筥迫(はこせこ:和装の装飾品で女性用の紙入れの一種)や煙草入れなどは「袋物」と言われていて、日本でのハンドバッグの原点なのですよ。

    南蛮貿易で日本に入ってきて世界的にはもうなくなってしまったと言われている金唐革や、精緻な蒔絵の手法が使われているものなど、まとめて管理保存して後世に伝えていきたいと考えています。

「人間らしい豊かな生活」を提供したい

  • ─ 今後はどのような展望をお持ちですか。
  • 「衣」「食」「住」それぞれのカテゴリーをより深めていきたいと考えています。

    例えば、ファッションについては、産官学の連携など、それぞれの得意分野を活かしたコラボレーションで、新しい素材や技術の開発に取り組んでいきたいです。

    gentenが目指していることは、環境を守りながら人間らしく豊かに生活していきたいという人類の普遍的な願いの実現です。志を同じくするさまざまな分野のパートナーと手を取り合って取り組んでいきたいと思っています。
  • ─ 銀座のショップは、一枚板の陳列テーブルや開放感のある大きな窓、併設されたオーガニックレストランなど、gentenブランドが持つ豊かな衣食住への信念が空間として具現化されていますね。
  • 銀座店では、歴史や伝統文化への造詣が深いお客様が非常に多いです。その方々にご満足いただけるような商品をこれからもお届けしたいと思っています。

株式会社クイーポ genten事業部 MD統括本部 本部長

岡田 育美

1997年株式会社クイーポ入社
販売促進部配属。広告宣伝、販売促進、店舗設計を担当する傍らgentenブランド立ち上げに従事。
1999年よりgentenの販促、営業、店舗開発を担当。
2014年よりgenten事業部MD統括本部長を務める。

インタビュアー

杉山 香林

株式会社オルタナ コンサルタント
http://www.alterna.co.jp
外資系IT企業や広告代理店、PR会社で、マーケティング・コミュニケーション、および事業戦略、新規事業開発に従事。
2008年に独立、社会的課題解決に向けた啓蒙プロジェクトや、企業とNPOの協働支援、CSR活動のコンサルテイング、実務推進サポートを行っている。

取材・文: 杉山香林 企画・編集:株式会社オルタナ

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