CSR・CSV

マザーハウス

Ginza×CSR・CSV Vol.38 マザーハウス

世界の銀座に、途上国ブランドの輝きを

2020.09.02

「銀座×CSR・CSV」第38回で紹介させていただくのはマザーハウスです。2006年の創業以来、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」をフィロソフィーに掲げ、バングラデシュの革製品をはじめとした「モノづくり」を通じて、「途上国」の持つ可能性を世界に発信してきました。今回は創業当初から夢に掲げ、2020年8月に念願のオープンを果たした銀座店で、その魅力と想いについて、コミュニケーションデザイン部門マーケティング・広報マネージャーの小田靖之さん、店舗統括責任者(銀座エリア担当)の西谷廉さんにお話を伺いました

6カ国の物語が一堂に会す銀座店

  • ─ 自然光に色鮮やかな商品が美しく映える、素敵な店舗ですね。自然に包まれたようなやわらかさを感じます。
  • 西谷:
    建築家の藤森照信さんのデザインで、自然素材をふんだんに取り入れた空間になっています。壁は藁入りの漆喰を使っていますし、床にはマザーハウス が創業当初から手掛けてきたジュート(麻)の素材を使っています。

    バングラデシュから輸入した、レザーを運ぶ際に使われる「バン」と呼ばれる自転車型の乗り物に藤森さんの苔山を掛け合わせたオブジェクトには、バングラデシュと日本の国と国とのつながりが表現されています。

    銀座店は、革製品からジュエリー、アパレルまで全ラインアップに触れていただける、マザーハウスらしさや大切にしたいものが込められた空間になっています。
店舗統括責任者(銀座エリア担当)の西谷廉さん

店舗統括責任者(銀座エリア担当)の西谷廉さん

8月にオープンした銀座店

8月にオープンした銀座店

「バン」と苔山を掛け合わせたオブジェクト

「バン」と苔山を掛け合わせたオブジェクト

  • ─ バングラデシュから始まり、現在は6カ国でモノづくりをされているそうですね。
  • 西谷:
    バングラデシュでは現地特有のレザーやジュートを使ったバッグや革小物、ネパールではシルクやウール、カシミヤなど天然素材を使ったストール、インドネシアではジョグジャカルタの伝統技術・フィリグリーを活かした繊細なデザインのジュエリー、スリランカではカラーストーンを使ったジュエリー。

    ミャンマーからは純度の高いルビー、インドでは独立の象徴「Fabric of Freedom」と呼ばれる手紡ぎ・手織りの「カディ」という生地を使った洋服を作っています。

    銀座店では6カ国すべての国でつくった商品に触れていただけるのが特徴です。
バングラデシュで生産された革製品

バングラデシュで生産された革製品

カシミヤとシルクで作られた、ネパール産のストール

カシミヤとシルクで作られた、ネパール産のストール

代表取締役兼チーフデザイナーの山口絵理子さんがプロデュースした「e.(イードット)」ブランドのディスプレイ

代表取締役兼チーフデザイナーの山口絵理子さんがプロデュースした
「e.(イードット)」ブランドのディスプレイ

  • 西谷:
    例えばこのミャンマーのルビーは、大理石から発見される純度の高い原石を使っています。市場に出回っているルビーの約9割は加熱して発色をよく見せているのですが、マザーハウスでは加熱もせず、原石のありのままの美しさを生かしているのです。ダイヤモンドなどのカットも、オリジナルで開発しているのですよ。
ミャンマーを産地とした天然無処理のルビー

ミャンマーを産地とした天然無処理のルビー

スリランカ産の2色の宝石を組み合わせた「Day and Night Shizuku」シリーズ

スリランカ産の2色の宝石を組み合わせた「Day and Night Shizuku」シリーズ

時代を見据え、新たな価値を生み出す

  • ─ 「途上国発のブランドで世界に勝負する」など、マザーハウスはモノづくりを通じて、新たな価値観を提唱してこられました。
  • 小田:
    Withコロナの時代に入って、自分たちは何を目指していくのか、社内でたくさん議論してきました。例えば超薄型のバックパック「Minimatou-身にまとう」も、そんな中生まれた商品です。

    Withコロナで働き方や持ち物の持ち方が変わってきた中、多くの人に手にしていただいています。
  • 西谷:
    ケア・修理をして長く使えるソーシャルビンテージとして、レザーバッグを回収しリメイクする「RINNE」シリーズもリリースしました。もともと修理・サービスは行っていたのですが、新商品としていかに価値を感じていただけるかをとても意識しています。

    色合いも一つひとつ違って、世界に一つしかない、一期一会の出逢いを楽しんでいただける商品です。
コミュニケーションデザイン部門マーケティング・広報 マネージャーの小田靖之さん

コミュニケーションデザイン部門マーケティング・
広報 マネージャーの小田靖之さん

回収したレザーから生まれた世界に一つのリメイクプロダクト「RINNE」

回収したレザーから生まれた世界に一つのリメイクプロダクト「RINNE」

  • 小田:
    回収に協力いただいたお客様には1500円分の割引に使えるソーシャルポイントをお付けして、1000円を途上国の公衆衛生への社会貢献として使っていただけます。

    愛用した製品を捨てられないというお客様の声と、素材を大切に循環させていきたいという、私たちの体現したいモノづくりの一つのあり方だと感じています。今後さらにこういった商品・サービスを充実させていく予定です。
  • ─ 2020年はコロナの影響で制約がありますが、現地の生産者を日本に招くなど、お客様との交流の場づくりも大切にされていらっしゃいますね。
  • 小田:
    「つながり」をつくることに可能性の広がりを感じているのです。世界11カ国に拠点があり、マザーハウスという名のもとに想いをひとつにしてつながっています。

    現地法人をつくり、現地の生産拠点で直接現地の方と触れながら、一人ひとりが、いかに自分たち自身も納得できるモノをつくっていけるか。そのつくる環境を整えていくことが、よいモノづくりにつながると考えています。

    僕たちは職場や工場、お店を「第二の家」のような存在でありたいと言っています。

    銀座のこのお店も、他にはない魅力のつまった空間として、ここでしかない空間と出逢いを体験しにきていただけたらと考えています。
生産国の職人たち。毎年生産者を日本に招いて店舗イベントを開催してきた

生産国の職人たち。毎年生産者を日本に招いて店舗イベントを開催してきた

昔ながらの方法で生地を織り上げるインドの職人

昔ながらの方法で生地を織り上げるインドの職人

銀座から届けたい想い

  • ─ 代表取締役兼チーフデザイナーの山口絵理子さんがYouTubeで涙ながらに銀座店オープンについて語っていたのが印象的でした。改めて銀座への想いをお聞かせください。
  • 西谷:
    創業後初めて作成したカタログに銀座とバングラデシュのダッカをつなぐ絵を載せていたくらい、マザーハウスにとって、銀座ははじめから目指してきた場所でした。

    山口や職人さんたちの努力はもちろんのこと、支えてくださったお客様がいらしたことで叶えることができた、いろいろな方の夢がつまった空間です。

    銀座は名だたるハイブランドが出店し、一流のものに触れているお客様も多く、訪れるだけで特別感のあるまちです。こういう時代だからこそ、銀座店を通してチャレンジに挑み、新たな価値や商品・サービスを通じて発信していけたらと思っています。
西谷 廉
株式会社マザーハウス 店舗統括責任者(銀座エリア担当)

西谷 廉

1993年兵庫県生まれ。 関西学院大学総合政策学部国際政策学科卒。 大学在学中にマレーシアやアフリカ・ザンビアでの現地NGOインターン経験を経て、国籍や宗教、育った環境の違いが無意識に差別や偏見を生んでいることに問題意識を持つ。人の持つ可能性を伝え、人と人とをつなぐ仕事をしたいという思いから、2017年マザーハウス新卒入社。店長としては銀座店が3店舗目。
小田 靖之
株式会社マザーハウス マーケティング / 広報 / インターン採用 マネージャー

小田 靖之

1979年、東京上野生まれ。中学時代に初めて行った米カリフォルニアの環境や生活に影響を受け、19歳から23歳まで、カリフォルニアで大学に通いながら、映画、映像の現場で働き、アート、写真、ファッションに興味を持つ。日本に帰国後は写真業界に進むものの、業界の構造や働き方に疑問を抱き、1カ月で退職。その後、アプリ開発や永田町でのシンクタンクの立ち上げを経験し、自分が表現したいことを目指し25歳の時、独立。ギフトの会社に始まり、広告代理店、飲食店、アプリ開発、学校運営など様々な事業を立ち上げる。起業し10年過ぎたころ、社会との繋がりや自身の会社や仕事が誰の役に立っているのかが見えなくなり、知人に会社を譲り、ちょうどその時に出会ったマザーハウスに転職。半年間の店舗勤務を経て、現在はマーケティングと広報、インターンの採用責任者。3児の父親でもある。
今井 麻希子
ライター

今井 麻希子

株式会社オルタナ
外資系IT企業等に勤務の後、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議(COP10)にNGOの立場で参加したことを契機に、環境やソーシャルの分野に仕事の軸をシフト。生物多様性やダイバーシティをテーマに、インタビューや編集・執筆、教育プログラムの開発や対話型カウンセリング・セッションを手がける。

取材・文:今井麻希子 / 企画・編集:株式会社オルタナ

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