CSR・CSV

ヤラカス舘

Ginza×CSR・CSV Vol.15 ヤラカス舘

オンライン・ショッピングモール「SoooooS.」(スース)
人や地球にやさしく商品と生活者を結ぶ

2014.07.25

「銀座×CSR」第15回で紹介させていただくのは、フェアトレード※、オーガニック、エコ、寄付つき商品など、⼈や地球にやさしい「ソーシャルプロダクツ」専⾨のオンライン・ショッピングモール「SoooooS.」(スース) です。カンパニー⻑の中間⼤維さんに話を伺いました。

※フェアトレード
原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易のしくみ

社会的課題の解決は援助とビジネスの両輪で

  • ─ 中間さんがビジネスを通じて社会的課題解決に取り組むようになったきっかけは何でしょうか。
  • 学生時代、南米やアフリカ各地へ何度も旅をしました。その中で、環境、貧困、教育、医療など、さまざまな社会的課題を目の当たりにする機会が多くありました。
    その一方で、どこの地でも目にしたのが、某有名ブランドの飲料です。現地でのそうした商品との出会いを通じて、社会的課題の解決に、援助や支援だけではない、商品・サービスの持つ可能性を感じたのです。

    社会に出てからは、メーカーでマーケティング業務に従事しながらビジネスの基本を学び、オーガニックコットンを使ったアパレル事業の立ち上げなども行いました。
  • ─ ヤラカス舘に入社後、社会的な商品・サービスと生活者をつなげるオンライン・ショッピングモール「SoooooS.」(スース)を、社内ベンチャー事業として立ち上げました。どのような思いがあったのでしょうか。
  • 情報通信技術の発展により、企業と生活者の関係は、よりフラットなものに変わってきました。また、社会や消費が成熟する中で、生活者は商品や購買に物質的な価値以外も求めるようになってきました。
    そういった潮流の中で、企業と生活者の間に立って、コミュニケーションや価値伝達をサポートする代理店、つまりマーケティングエージェンシーとしてのヤラカス舘の役割も再考する必要がありました。

    これまでの単なる“企業の代理”としての仕事や、商品の物質的な価値開発・伝達の仕事だけでなく、生活者との新たな関係性の中で、新しい価値創造につながる仕事をしていくことが不可欠だと感じたのです。

    物質的な価値、経済的な価値だけでは動かなくなった生活者は、心理的な価値や満足、商品を通じた「ストーリー」の実感、そこへの参加を求めるようになるのではないか。そんな思いから、共感性が高く、豊かなストーリーを持ったソーシャルプロダクツに特化したマーケティング事業・サービスを行うことにしたのです。

オンライン・ショッピングモール「SoooooS.」

潜在的関心層への訴求で市場拡大を

  • ─ 「SoooooS.」では、どのような商品を取り扱っていますか。
  • 食品・飲料、ファッション、生活・住まいの商品など約1500点ほどを販売し、約250社と生活者を結んでいます。
    地域の未利用資源を有効活用して地域活性化を実現する、途上国の生産者の生活環境の改善に貢献する、売上の一部の寄付を通じて環境保全活動を促進するなど、個々の商品が持つストーリーに触れる中で、よりよい社会作りへの参加を実感できるような「人や地球にやさしい商品」を厳選して取り扱っています。中には、森林浴や林業体験といった、無形の商品もあります。
  • ─ 環境や社会に対する生活者の意識や行動の特徴は、属性によってどのような違いが見られますか。
  • NPO・NGOの会員に女性やシニアが多いことや、ソーシャルプロダクツの購入者でもそうした属性の方が多いことなどから、これまでは一般的に、女性やシニアの方が社会的意識が高いのではないかと考えられてきました。私自身も、SoooooS.のを運営していてそのように感じていました。
    しかしながら、最近行った調査では、社会的意識に統計的に有意な性差や年代差は見られませんでした。まだ断定的なことは言えませんが、同じような意識を持っていても、性別や年代で、表に出る行動に差がある可能性があります。

    また、同じ調査からは、結婚や出産など、人生のステージが変わるタイミングで、より環境や社会への関心が高まる層と、そういった欲求や余裕が失われていく層に分かれていくのではないか、ということも見えてきています。
  • ─ 社会的意識を持った生活者にソーシャルプロダクツを選んでもらうためには、どのようなことが重要になってくるのでしょうか。
  • 一部の特別な人を除けば、「社会性のある商品」というだけで、商品を購入してもらえるわけではありません。人間は本能的に、モノとしてよいもの、自分に合ったものを選びますので、その部分は他の商品と同等以上にまで高めなくてはならないでしょう。その上で、環境や社会への配慮を+αの魅力として感じてもらい、商品を選んでいただくことが必要です。

    また、商品情報の伝え方にしても、対象となる人に合わせて、商品の社会的価値と物質的価値をバランスよく伝えることが大事です。
    そういったことができれば、社会的意識が極めて高い少数の人だけでなく、意識はあるが、まだあまり行動に移せていない「潜在的関心層」にもソーシャルプロダクツに振り向いてもらうことができると思います。

    意識の高い層だけでは市場が小さく、社会的な影響は限られてしまいます。ソーシャルプロダクツを通じたより良い社会づくりを加速させていくためにも、マーケティングの実践を通じて、多くの人にソーシャルプロダクツを選んでいただけるようにしていきたいですね。

ブラジルの農村で編まれている「水草×綿の手編みランチョン」

パレスチナに唯一残る織物工場で織られる「ラスト・カフィーヤ」

オリンピックを転換点に若い世代による市場活性化を期待

  • ─ 今後、生活者の意識や行動はどう変わっていくでしょうか。
  • 社会が成熟していくと、所有欲など、物質的消費への意欲が減退していきます。モノではない部分に価値を見出す人たち、そこに価値を置いた商品を出すメーカーも増えていくでしょう。

    エコ商品は、学校で環境教育を受けた世代が消費の中心を担うようになり、急速に普及しました。現在、中学校や高校などの教育の現場では、「フェアトレード」や「エシカル」※2といった、社会性の高いキーワードが取り上げられ始めています。そうした教育を受けた子どもたちが、消費やビジネスの中心を担うようになると、「ソーシャルプロダクツ」の市場はより一層拡大するのではないでしょうか。

    また、2020年の東京オリンピックでは、選手村や関連施設で、フェアトレードやオーガニック製品など、ソーシャルプロダクツの積極的活用を推進する動きがあります。こうした大きなイベントは社会への影響力も大きいので、生活者のライフスタイルが変化したり、社会性の高い商品が世の中に増えたりする転換期となるかもしれません。

    ※2 エシカル=自然環境や社会、人権に配慮した取り組みや価値観
  • ─ 今後、さらにソーシャルプロダクツ市場を発展させるために取り組んでいきたいことはありますか。
  • オンラインだけで価値を伝えきることは難しいと感じているので、今後は、リアルな場との連携も増やしていきたいですね。

    今年は、バレンタインの時期に、SoooooS.に出品されている商品の一部を実際の店舗で販売をするといった取り組みを行い、好評を博しました。
    今後は店舗を持つ方やイベント主催者との連携を広げ、一人でも多くの生活者にソーシャルプロダクツの魅力を届けていきたいと思います。
  • ─ SoooooS. カンパニーは、銀座が拠点となっていますね。
  • 銀座では企業の社会的な取り組みが盛んで、私たちもそういった企業とのお付き合いがあります。
    トレンドの先端ともいえる銀座で、各社が社会的な取り組みを実践・発信することには大きな意義があると思います。やり方によっては、地方から出てきた人や海外から訪れた人にも、幅広く活動やメッセージを届けることができるかもしれません。

    SoooooS.の取り組みはまだまだ小さく、その影響力は限られていますが、私たちも銀座発の価値創造に少しでも貢献できるようにしていきたいと思います。

株式会社ヤラカス舘 SoooooS.カンパニー⻑

中間 ⼤維

消費財メーカーでのブランドマネジメント、起業を経て、ソーシャルプロダクツ専門の購入・発見サイト「SoooooS.(スース)」を立ち上げる。
現在は、SoooooS.の責任者を務める傍ら、ソーシャルプロダクツ普及推進協会の事務局長/専務理事も兼務し、ソーシャルプロダクツのマーケット創造、ソーシャルな消費の浸透に向けて日々奮闘中。専門はマーケティング、事業開発。

インタビュアー

杉山 香林

株式会社オルタナ コンサルタント 外資系IT企業や広告代理店、PR会社で、マーケティング・コミュニケーション、および事業戦略、新規事業開発に従事。2008年に独立、社会的課題解決に向けた啓蒙プロジェクトや、企業とNPOの協働支援、CSR活動のコンサルテイング、実務推進サポートを行っている。

取材・文:杉山香林  企画・編集:株式会社オルタナ

All List