CSR

銀座カーヴ・フジキ

Ginza×CSR Vol.26 銀座カーヴ・フジキ

2017.06.13

「銀座×CSR」第26回で紹介させていただくのは、明治22年創業の藤木酒店が運営するナチュラルワイン専門店「銀座カーヴ・フジキ」です。戦後の日本に洋酒文化を広めるなど、時代に先駆け、新しい価値を提供してきた同社は、現在、自然派ワインや国産ワインを中心に取り扱っています。今回は藤木徹代表取締役にお話を伺いました。

時代に先駆け、「食卓に豊かさ」を届け続ける

  • ─ 銀座カーヴ・フジキは、2010年に自然派ワインの専門店としてこの場所にオープンされました。創業当初のお話を聞かせてください。
  • もともとは茨城の方で醤油屋を営んでいたんです。その後、銀座に場所を移し、酒屋に業態を変えました。この辺りには昔、運河があって、酒樽が運送されていたんですよ。

    高度経済成長期に入り、銀座にキャバレーができるなど洋風文化が広まります。それで、ウイスキーやワインといった洋酒・輸入酒など、当時としては特別な種類を扱うようになりました。
  • ─ 自然派ワインにシフトしたきっかけは、何だったのでしょうか?
  • 今は規制も変わり、さまざまなお酒が色々な場所で手に入るようになりました。そこで、銀座ならではのものを提供したいという気持ちと、僕自身がワインを一生懸命勉強してきたことから、ワイン専門店にすることを決めました。

    実は最初から自然派にこだわるつもりはありませんでした。当時の自然派ワインというと、泥臭さや土臭さがあって苦手と感じるものが多かったんですね。

    でも、この店で店長を務める女性が美味しい自然派ワインを提案してきてくれたんです。それでいくつか飲んでみたら、とても美味しくて。「これならいける」と思いました。

    食卓に豊かさを届けるというのもワインの大切な役割です。ですから、有機栽培や無農薬であると同時に、美味しいということが何よりも大切だと考えています。

    オープン当初に取り扱っていた自然派ワインの割合は、商品全体の約半分ほどでした。その後、世の中的に自然派ワインが注目されるようになり、徐々に取り扱い数を増やしていったんです。
昭和30年代の藤木酒店

昭和30年代の藤木酒店

現在の銀座カーヴ・フジキ 店内

現在の銀座カーヴ・フジキ 店内

自然派ワインには、ものがたりがある

  • ─ 最近は環境や健康への配慮から自然派、オーガニック食品への関心が高まっています。自然派ワインの魅力とはどんなところにあると感じていらっしゃいますか?
  • 自然派ワインは、飲んだ時にすっとのどに入ってくるような感じのものが多いんです。その背景にある、作り手の方々の個性や考え方が反映されていると感じますね。


    ワインは、摘んできたブドウを絞り、それを樽に入れて発酵してつくっていると考える人が多いと思います。実際に、今もそういう方法をとっているのは自然派ワインの生産者ぐらいなんです。

    毎年安定したものを大量に作ろうとすると、どうしても農薬を使ったり、選抜酵母を入れたりといった、いろいろなテクニックを使ってコントロールしていくことが必要になります。

    自然派の人たちは、できるだけそういうことをしないんです。ブドウ自体の力を高めることで細菌に負けない強くて良いブドウをつくろうとします。
店内には多くの自然派ワインが温度管理されている

店内には多くの自然派ワインが温度管理されている

国産の自然派ワインも多く取り揃えている

国産の自然派ワインも多く取り揃えている

  • ─ 仕入れ業者さんを招いて開催している「自然派だよ!全員集合」というイベントも面白いですね。
  • このイベントは年に一度、開催しています。お客様に試飲を楽しんでいただきながら、仕入れ業者さんにワインについて語ってもらうのです。

    
ワインというと、カベルネ・ソーヴィニヨンといった、ブランドの品種が市場で好まれる傾向があります。でも、自然派ワインをつくっている農家さんってその土地と相性がいい品種を、できるだけ余計な手を加えないで自然につくりたいという発想なんですね。だから、格付けを取ろうと思わない人が多いんです。

    でも格付けがついていないと、買う側にとっては判断が難しいです。だからこそ、仕入れる側や売る側の役割が重要になるんですよ。
  • ─ 生産者を直接訪れることもあると伺いました。どのようなお話をされるのでしょうか?
  • どんな畑で、どんな方法で、どんな考え方を持ってつくっているのかに、とても興味があります。ワインは、水を一切使わないお酒で、ブドウの良し悪しが全てなんですよ。

    自然派ワインの生産者さんは、基本的には無農薬、有機栽培をしているんですけれど、そこにはすごい苦労があるはずなんですね。病気にならないようにするためには、どうするかって、ずっと考えているんです。

    フランスの生産者を訪ねたら、雑草辞典を持っていたんですね。畑に生えた雑草で土の中の状態がわかるって。それで、収穫の時期をずらそうかとか、いろいろなことを考えている。土の中で微生物が大事という話をし始めたら止まらないとか、太陽の光を集めるパワーがあるといって畑に水晶を撒いていたりとか。ブドウを健全に育てるために、いろんなことを考えていて、面白いです。
「自然派だョ!全員集合」の様子

「自然派だョ!全員集合」の様子

「自然派だョ!全員集合」の様子

「自然派だョ!全員集合」の様子

人がつながり、ともに育ててきた、あたたかさのある銀座

  • ─ 銀座のまちの魅力や未来に向けて大切にしていきたいものを教えて下さい。
  • まちが発展するには、個々の店が魅力的であることと、まちが全体として魅力を持つこと、両方が大事で、そのために銀座の人たちはいろいろな取り組みをしています。

    店の前を掃除するだけではなく、道路も綺麗にする。歩道に看板を出さない。そういうことの積み重ねで、まちの魅力も上がります。まちの魅力が上がれば、お客さんもいらっしゃる。店が良くてもまちを好きになれなかったら、訪れる人も遠のいてしまいます。

    銀座のまちの人たちって、仲が良くて、排除しないでやっているんです。新しい人が来たら、仲間にいれていく。注意することもあるけれど、一緒に、このまちの魅力をつくっていこうとする。実は、人と人とのつながりがすごくあって下町感があるし、みんなでまちをよくしようという意識を持っていることにプライドを感じているんですね。

    銀座のようにガードレールのない場所ってなかなかありません。歩行者天国ができるのも、「自分たちの銀座を自分たちで守る」という、銀座のまちの人の思いがあるから。そういうのは、銀座のまち独特の魅力だと思いますし、これからも大切にしたいと考えています。
銀座カーヴ・フジキ

代表取締役 藤木徹
1964年東京生まれ。明治大学卒業後、サントリー株式会社に入社。その後、1992年に有限会社藤木酒店へ入社し、2004年より代表取締役に就任。2010年に銀座カーヴ・フジキを開業。

ライター

今井麻希子

株式会社オルタナ 外資系IT企業等に勤務の後、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議(COP10)にNGOの立場で参加したことを契機に、環境やソーシャルの分野に仕事の軸をシフト。生物多様性やダイバーシティをテーマに、インタビューや編集・執筆、教育プログラムの開発や対話型カウンセリング・セッションを手がける。

取材・文:今井麻希子 / 企画・編集:株式会社オルタナ

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