CSR

cafe 634

Ginza×CSR Vol.27 cafe 634

銀座で働く人たちを思い、身体にやさしいランチを提供する

2017.09.13

「銀座×CSR」第27回で紹介させていただくのは、東銀座の路地裏に位置し、17時半までランチを注文することのできるくつろぎの空間、cafe 634(カフェムサシ)です。千葉県印西市から取り寄せた旬の有機野菜を使って提供される日替わりメニューとこだわりのコーヒーを求める常連客も多いこのカフェ。そこには、どんな思いがあるのでしょうか。今回はカフェを運営する児玉健太朗さんにお話を伺いました。

旬の食材をいかした日々の食卓を、東銀座に

  • ─ 2004年のオープン以来、身体にやさしい旬の食材を使ったランチメニューを夕方まで提供していらっしゃいます。なぜこのようなカフェを始めようと思ったのですか。
  • もともとこのビルは、ひいお爺ちゃんの代、大正時代から続く印刷会社の工房でした。僕が中学校で社会科の教師をしていた23歳の時、3代目だった父が亡くなりました。一時は経営を引き継いだのですが、印刷業は厳しく、数年で店をたたみました。そして、前から興味のあったカフェを開くことにしたんです。

    旬の野菜をつかった身体にやさしいランチを、時間を限定せずに提供したいと考えたのは、銀座で働いた経験からでした。

    この辺りには出版関係の会社もありますし、働く人のお昼の時間はまちまちです。けれども、夜営業しているお店はランチタイムを過ぎると休憩時間に入ってしまいますので、ランチの選択肢が限られていました。

    そこで、うちは夕方までの営業にして、閉店時間までいつでもランチを提供できるようにしたいと考えました。毎日食べるものだから、納得したものを提供したい。そして、家からお弁当を持ってくるような感覚で、毎日食べても負担にならない食事をと考えたんです。
大正時代から続く印刷工房のあった雑居ビルを、2013年に現在の姿にリニューアルした。天井が高く、ゆったりとした間合いのここちよいスペースが広がっている

大正時代から続く印刷工房のあった雑居ビルを、2013年に現在の姿にリニューアルした。
天井が高く、ゆったりとした間合いのここちよいスペースが広がっている

店の入り口右手の壁には、手書きのメッセージで想いが綴られている

店の入り口右手の壁には、手書きのメッセージで思いが綴られている

  • ─ ヘルシーで、お手頃な価格のランチは日替わりですし食材もさまざまですよね。食材はどのように調達されているのでしょうか。
  • 千葉県印西市で少量多品種の有機栽培をしている農家さんに、直接送っていただいています。うちも小規模でやっていますので、一軒の農家さんから少量で多くの種類を仕入れられるのがちょうどいいんです。年間40-50種くらいの野菜を使って、季節そのものを食べていただきたいと思っています。メニューはお肉を使ったものと、使っていないものを用意し、その日の体調に合わせて選んでいただけるようにしています。

    今提供しているコーヒーは、オーストラリアのシングル・オリジン・ロースターズというものを使っています。自分たちが淹れてみて本当においしいと納得したものを出したいと思いますし、コーヒーも食事も、常にいいものを探し続ける姿勢を大切にしています。
日替わりのランチメニューは、好きな主菜と副菜を組み合わせを楽しむことができる。ご飯の代わりに自家製のベーグルというチョイスも。週に何度も通う常連客も多い

日替わりのランチメニューは、好きな主菜と副菜を組み合わせを楽しむことができる。
ご飯の代わりに自家製のベーグルというチョイスも。週に何度も通う常連客も多い

小さく営むからこそ、提供できる価値がある

  • ─ スタッフは全員が正社員というのも、飲食店では珍しいですね。
  • お店を訪れるといつも知っている人がいて、「今日は暑いですね」なんて言葉を交わしながらコーヒーを買うことができたら、なんとなく気分がいいですよね。固定のスタッフがいることで、お客さまの好みを把握して、社員の間で共有することもできます。

    ここで働いている社員は、将来独立したいとか、コーヒーを淹れる技術を身に付けたいという思いを持った人が多いんですね。そういうこともあって、イベントのメニューを考えてもらうこともありますし、こうした方がいいよね、こうしていきたいよねといったアイデアもよく話し合うんです。
今年の社員研修はノルウェーのオスローを訪れた。「ホスピタリティや店の雰囲気、お客さんとの距離感など、『いいな』と感じるところが社員の間で共有できていることを実感したんです」

今年の社員研修はノルウェーのオスローを訪れた。
「ホスピタリティや店の雰囲気、お客さんとの距離感など、
『いいな』と感じるところが社員の間で共有できていることを実感したんです」

  • ─ 店舗では野菜を販売することもあるそうですね。
  • きっかけは、店舗のリニューアル工事の時期に、1ヶ月半ほど農家さんを手伝いにいったことでした。夏はいろいろな野菜の旬が一度にくるため、とれすぎて廃棄になるものが多いという話を聞いて、夏の間は店でも夏野菜を販売することにしたんです。
  • ─ ほかにも、休日のモーニングや、絵画の展示、ジャズライブなど、年間を通じてさまざまな企画を展開されていらっしゃいます。どのように構想を練られているのでしょうか。
  • 自分たちが「いいな」と感じることや、人とのご縁から生まれています。今展示している絵は、自閉症の子どもたちが描いたものを映像作家のナンブトモノリさんがまとめて撮影されたものです。この絵を見て、色使いとかが本当に素敵だなあと思って……。もっとたくさんの人が目にする機会があってもいいのではないかと思って、僕の方からお願いをしました。

    モノも、空間も、自分たちがその時に本当にいいなと感じたものを提供し続ける。そういうcafe 634らしさを大切にしていきたいと思っています。
ナンブトモノリさんによる展示「Re:CREATION」。Café 634では、ラオス教育支援活動を支援する、社会的なテーマの企画も多い

ナンブトモノリさんによる展示「Re:CREATION」。
Café 634では、ラオス教育支援活動を支援する、社会的なテーマの企画も多い

店を出るときに、元気が少しプラスされるような存在を目指して

  • ─ 銀座のまちに、どんな魅力を感じていらっしゃいますか。
  • 東銀座のこの辺りは、お正月の餅つき大会やお祭りがあったりして、昔ながらの風習が今も大切にされています。有名なお菓子屋さんがもち米を提供して、お雑煮をつくったりもしますし、おじいちゃんおばあちゃんからお孫さんまで、みんなが集まってくるんです。そういう意味で、江戸っ子気質のようなあたたかさを感じますね。
  • ─ これから手がけてみたいことはありますか。
  • すごく正直なことをいうと、今のこのお店は、ちょっと大きすぎるなと思っているんです。チームで動く楽しさも感じているのですけれど、スタッフにはいつかは独立して次のステップに進んで欲しいと思っていますし、もしも叶うならば、もっと小さなお店で、すべて自分の目の届くところでやっていきたい。

    コーヒーを一杯飲むだけにせよ、お昼を食べるだけにせよ、店に来る前より出て行く時の方が、一歩気持ちが盛り上がっているようなお店にしたいんですよね。そのために、自分がいいと思っていることを妥協せずに表現していきたいと思っていて。50代くらいになったら、頑固じじいみたいな店をやっていたいですね(笑)。
cafe 634 店主 児玉 健太朗
cafe 634 店主

児玉 健太朗

1977年横浜生まれ。大学卒業後、中学校(社会科)の教師を経て、東銀座にある家業の印刷工房を引き継ぐ。その後、工房を改築して2004年にcafe 634を開業。季節の食材をいかした働く人にやさしいランチを夕方まで提供するくつろぎのスペースを展開している。634という店名は、高校時代に武蔵丸に似ているということからついたニックネームから。2015年より住まいのある大森で姉妹店「PERCH COFFEE」を経営。
HP:http://www.cafe634.net
facebook: https://www.facebook.com/Cafe634-242848515838183/
Instagram http://abphy.com/user/cafe_634
株式会社オルタナ ライター 今井麻希子
ライター

今井麻希子

株式会社オルタナ http://www.alterna.co.jp 外資系IT企業等に勤務の後、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議(COP10)にNGOの立場で参加したことを契機に、環境やソーシャルの分野に仕事の軸をシフト。生物多様性やダイバーシティをテーマに、インタビューや編集・執筆、教育プログラムの開発や対話型カウンセリング・セッションを手がける。

取材・文:今井麻希子 / 企画・編集:株式会社オルタナ(http://www.alterna.co.jp)

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