CSR・CSV

BRITA Japan

Ginza×CSR・CSV Vol.33 BRITA Japan

水の飲み方をエコに ― 浄水器からプラスチックごみ問題の解決に挑む

2019.07.05

「銀座×CSR・CSV」第33回で紹介させていただくのは、家庭用浄水器メーカーBRITA Japan(ブリタ・ジャパン)です。1966年にドイツで創業した同社は「水の飲み方を持続可能にする」ことをミッションに、海洋プラスチックごみ問題に貢献する新たな事業を展開しています。事業を通じた社会課題解決への思いを、BRITA Japanマーケティング部マネージャーの迫田時秀さんに伺いました。

家庭から、外へ、暮らしの常識を変える浄水ソリューション

  • ─ 1966年創業のBRITAは、現在のようにプラスチックごみが大きな問題になるずっと前から、浄水器を通じた持続可能な社会づくりを提唱されてきました。
  • 私たちBRITAは「人々の水の飲み方をサステナブルな形に変えていきたい」というミッションを掲げてドイツで創業した企業です。世界ではB2Bも展開していますが、日本ではB2Cをメインに、家庭用浄水器や携帯用浄水器を展開しています。

    日本は世界的に見ても水道インフラが整っている国で、沸かさなくても飲める水道水が簡単に手に入ります。一方、1人あたりの使い捨てプラスチックごみの発生量が米国に次いで世界第2位と多く、清涼飲料用ペットボトルは1年間に227億本も使用されています(2016年度、PETボトルリサイクル推進協議会)。浄水器や浄水ボトルで代用することで、その分のペットボトル利用を削減できますし、節約にもなるのです。
  • ─ 浄水器というと水道に付けるイメージですが、携帯型浄水器という新しいコンセプトで「fill&go」(フィル&ゴー)という商品をリリースされました。2017年にはグッドデザイン賞を受賞されていますね。
  • fill&goはこれまでの「浄水は家庭から」という発想を家の外にまで広げた、ミネラルウォーターの代替になりうる画期的な商品です。3R(リデュース、リユース、リサイクル)が大事だと言われますが、その中で最も大事なのはリデュース、つまりそもそもの利用を減らすことです。

    日本のペットボトルごみの回収率は約85%と高いですが、回収されているもののうちしっかりリサイクルされているのは僅か10%ほどに過ぎないとも言われています。根本的な解決のためには、そもそものプラスチックの使用量を減らしていくことが大切なのです。

    一人当たり1日3本、1カ月90本と想定すると年間1080本ものペットボトルを利用している計算になります。携帯型浄水器で代用することで環境負荷を軽減することができますし、節約という消費者のメリットにも直接つながります。
浄水機能付きのマイボトル「fill&go」

浄水機能付きのマイボトル「fill&go」

コレクティブ・インパクトを目指し、連携の力を大きく

  • ─ 使い捨てプラスチックごみの削減を目指し、2019年6月に「BRITA EcoWater Action 2021(ブリタ・エコウォーター・アクション2021)」を立ち上げました。
  • 「持続可能性」(サステナビリティ)という大きな課題に取り組むには、ひとつの団体が個別に頑張るだけではなくて、関係する団体を巻き込みながら、それぞれの良さを引き出しながら目標に向かっていくことが必要です。

    これまでもBRITA Japanとして荒川河川敷のクリーン活動、富士山の植樹活動などさまざまな活動を行っていましたが、そうした個別の活動を、現場や社会の流れに合わせて統合し、個別の企業・組織を超えて連携することで「コレクティブ・インパクト(*)」を目指そうと考えました。

    (*)「コレクティブ・インパクト」とは2011年に「Stanford Social Innovation Review」で発表された論文で定義され、さまざまな組織(例:企業、行政、NPO、大学など)が、組織間の壁を越えて社会的課題の解決を目指すアプローチのこと。

    現在、世界的にもプラスチックごみ削減の関心が高まっています。日本でも全省庁の食堂や売店での使い捨てプラスチックの原則使用禁止が決定され、プラスチックの使用を廃止する企業が増えるなど、さまざまな動きが生まれています。

    BRITA EcoWater Action 2021では、企業、行政、NPO、学生という4つの団体区分から参加を募り、互いがつながりながら社会的インパクトを高めることを目指して、2021年までペットボトルごみを削減する啓蒙活動を実施していきます。
跡見学園女子大学SHIOZEMIの学生たち

跡見学園女子大学SHIOZEMIの学生たち

学生マイボトルコンテストでは、学生からの自由なアイデアに期待している

学生マイボトルコンテストでは、
学生からの自由なアイデアに期待している

  • ─ 迫田さんご自身、プロジェクトの現場に足を頻繁に運ばれているそうですね。
  • 僕自身、現場が大好きなんですよね。いろいろな話が聞けるので、気付かされることが多く、アイデアも生まれてきますし、アクションを起こしていきたい気持ちも高まります。

    荒川でのクリーンアップ活動に関わっていると、ごみを拾っても翌週には大量のプラスチックごみが溜まってしまっている酷い状況を実感させられ、本当に何とかしていきたいと思います。G20に合わせて開かれた若者による公式付属会合「Y20サミット」に参加しても、いろいろなアイデアや議論があって、なるほどと感じることが多いです。
荒川での清掃活動で。たった1日で多くのごみが集まった

荒川での清掃活動で。たった1日で多くのごみが集まった

迫田さんは自然が大好きで、アウトドアや登山等に出かけることも多く、昔から環境に対する関心が強いという。「自然から力を与えられていることを実感する日々」と話す

迫田さんは自然が大好きで、アウトドアや登山等に出かけることも多く、
昔から環境に対する関心が強いという。
「自然から力を与えられていることを実感する日々」と話す

  • ─ 迫田さんは環境省が推進する若手起業家発掘事業「ウィルラボ」のメンターも務めてられました。
  • BRITAも「起業家精神」から生まれた会社です。浄水器を使ってエコにすること、そして浄水器を外に持ち出そうという発想も、考え方としてはとてもシンプルですが、消費者の方が受け入れやすい価格設定や大きさ、使いやすさ、デザインで新しいものを送り出すに至るには、いろいろな苦労がありました。BRITAとしても、今回このように起業家の方を支援する事業に関わらせていただいたことを嬉しく思っています。

最先端の価値を発信し続ける銀座とともに

  • ─ 改めて銀座への思いをお聞かせください。
  • 銀座は時代の最先端をいく街であり、情報が集まり発信されるセンターでもあり、インターナショナルな街でもあります。またサステナビリティに関しても感度の高いお客様の多い地域であるとも言えます。私たちは3年前に本社を銀座に移転しました。これからもますます、この銀座の土地からいろいろな団体や人とつながって、動きを起こしていきたいと思っています。
銀座にある中越パルプ工業で開催された「銀座ソーシャル映画祭」。BRITA EcoWater Actoin2021では銀座ソーシャル映画祭とも連携し、サンプリングや「マイボトル宣言」を行っている

銀座にある中越パルプ工業で開催された「銀座ソーシャル映画祭」。
BRITA EcoWater Actoin2021では銀座ソーシャル映画祭とも連携し、
サンプリングや「マイボトル宣言」を行っている

迫田 時秀
BRITA Japan株式会社 マーケティング部 マネージャー

迫田 時秀

青山学院大学理工学部機械工学科卒業後、株式会社東芝へ入社、15年間ハードディスク関連のマーケティング、商品企画として従事。コンシューマ向外付ハードディスク事業の立ち上げ等、新規事業開発に携わる。2016年よりドイツ浄水器メーカーBRITAの日本法人、BRITA Japan株式会社に入社、携帯できる浄水器の新発売に合わせ、浄水ボトルのマーケティングを担当、ペットボトルのミネラルウォーターの代替え品としての普及を日々推進している。
今井 麻希子
ライター

今井 麻希子

株式会社オルタナ
外資系IT企業等に勤務の後、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議(COP10)にNGOの立場で参加したことを契機に、環境やソーシャルの分野に仕事の軸をシフト。生物多様性やダイバーシティをテーマに、インタビューや編集・執筆、教育プログラムの開発や対話型カウンセリング・セッションを手がける。

取材・文:今井麻希子 / 企画・編集:株式会社オルタナ