CSR

中越パルプ工業

Ginza×CSR Vol.6 中越パルプ工業

一社員の思いが生んだ
銀座でのコラボレーション

2013.09.19

「銀座×CSR」第6回は、総合紙パルプメーカーの中越パルプ工業でCSRの取り組みに奮闘している西村修さんです。組織上の役割には無い、「社会的課題の解決と企業のソーシャル・ブランディング」というミッションを自らに課し、銀座の企業や全国のNPOとの協働を実現するまでの経緯をうかがいました。

仕事は自分で創っていい

  • ─ 西村さんは、一社員のお立場から、ソーシャルな取り組みを推進されていますね。
  • 私は他の企業でいうCSR活動もしていますが、肩書きは営業企画部の部長です。弊社にCSR部はありませんし、私が会社からCSR的なミッションを与えられている訳でもないのです。現在のような社会的な活動を始めたのは4年ほど前でした。
  • ─ どのようなきっかけがあったのですか。
  • 2009年に開催された横浜開港150周年記念イベント「開国・開港Y150」が転機となりました。そのイベントのパビリオンに使われる大量の竹のリサイクル先として、すでに竹を製紙原料に活用していた弊社に声がかかりました。

    そして、「せっかくだから出展もしてみないか」とお誘いを受けたのです。でも、所管部署は本社の富山県に移ってしまった後でした。東京本社には自分の業務と並行して担当できる者が誰もいなかった。イベント出展の前例も無いので、ブースの企画や運営のノウハウもありません。

    私は新卒で入社してから約20年間、木質原料を購入する部署を中心に、海外駐在、秘書室などでも働いてきました。仕事はそこそこにこなしてプライベートを大切にするライフスタイルでした。しかし実を言えば、「本当はもっと社会に役立つ仕事をしたい」と、くすぶる思いをずっと持っていたのです。だからその時、「自分ならできる」と感じて、担当することにしました。
  • ─ その出展の機会が、どのように継続的な取り組みにつながったのですか。
  • イベント出展での反響から、竹紙は多くの方に共感していただけると確信しました。弊社にしか作れず、共感を得ることのできる竹紙は、「ブランディングの武器」になり得ると思ったのです。

    ただ、弊社には、そのブランディングが欠けていました。竹紙を始めたのは1998年ですが、「良いことをやっているのだから、いつかは気付いてもらえる」と、全くPRをしてこなかった。そこで、本来ブランディングは当社では総務人事部が担う役割かもしれませんが、能動的に取り組む様子もなかったので、自分で推進していこうと決めました。

    経験もノウハウもないところから、社外のネットワークを広げていき、「アースデイ東京」などの環境イベントへの出展や、企業、NPO団体とのコラボレーションを実現していきました。仕事は与えられたことをこなすだけではなく、自分で創っていいのだと気付いたのです。そこから新しい苦労が始まったのですが(笑)。

大義より、真に役立っているか

  • ─ 竹紙はなぜ共感を得ているとお考えですか。
  • まず、社会に役立つ本質的な取り組みだからだと思います。管理が行き届いていない竹林は、光を求めて隣接する森林を侵食します。全国規模で問題となっている放置竹林を間伐して有効活用し、タケノコの生産性を上げることは、地域貢献につながります。

    竹紙は、弊社の木質原料を購入する部署のリーダーが、地域を助けるために部下を巻き込んで試行錯誤しながら開発した製品です。取り組んでいる社員の自発的な思いがそこにはあります。

    会社が形式上打ち出したCSR方針に即して活動内容を決めてCSR部スタッフに業務として担わせる――それだけでは、いつの間にか「社会に役立つ真の取り組みをするには?」という本質から外れ、「大義ありき、会社ありき、立場ありき」の取り組みになってしまうでしょう。
  • ─ 銀座の企業とのコラボレーションも生まれていますね。
  • 三越伊勢丹さんが弊社の竹紙を、七夕の短冊や、店舗に多くの環境配慮商品が集まる「グローバル・グリーンキャンペーン(http://www.isetanspecial.com/globalgreen/)」期間中のディスプレーに使ってくださいました。

    コラボの発端は、私が4年前から七夕の時期に関係者に配っていた竹紙製の短冊でした。弊社の代表が「銀座の商店街へも使ってもらえないのか」と思いつき、銀座で活躍するある方の紹介で、三越伊勢丹さんとつながりを持てたのが、昨年のことです。

    その担当者が熱心な方で、「今年はグローバル・グリーンキャンペーンでも是非使いたい」と申し出てくださいました。竹紙をインパクトのあるアート作品のようにして、銀座店で4面、日本橋店で4面、目抜き通りのディスプレーに活用してくださったのです。担当者が共感だけでなく行動してくださって実現できたことを嬉しく感じました。銀座のゆかた祭りでも、同様に、担当者の共感からパンフレットとポスターに竹紙が採用されています。

三越伊勢丹「グローバル・グリーンキャンペーン」のディスプレー

  • ─ 竹紙以外では、どのような取り組みをされていますか。
  • 「銀座ソーシャル映画祭」を8月にホテルモントレ銀座で開催しました。ドキュメンタリー映画を鑑賞して、社会的課題を共有することで、社内のソーシャルマインドを高めることが狙いでした。そして、社内に限らず、銀座の方や同じマインドを持った方にも、広く参加を呼びかけました。すると、収容人数50人想定の会場に、80人以上も集まってくださったのです。4年前まで何も発信していなかった会社が、広告も打たずに、10日間の告知で80人の共感者を集めることができた。これは素晴らしい財産と言えます。
  • ─ 映画祭を行ってみて、何か発見はありましたか。
  • 来場者は、映画を鑑賞したいだけではなく、来場者同士で交流や意見交換をしたいと感じているようでした。このように、ソーシャルマインドが高い人々のコミュニティーをつくることや、その発信基地となるような場作りも、社会への貢献になると思います。これからも、2カ月に1回ほど開催する予定です。銀座の方々や、他社でCSR活動に苦労されている担当者の方々にも、この映画祭を活用してもらえたらと考えています。

銀座ソーシャル映画祭の様子

社外の味方が助けてくれる

  • ─ 今後も銀座の企業との協働や地域貢献を視野に入れていますか。
  • これまでも工場の所在地では、当たり前のように地域を大切にする取り組みを行ってきました。でも、東京本社のある銀座では、ほとんどそのような機会を持てなかったのが実情です。銀座は、意識の高い人が集まっている所です。活気のある街は多くても、銀座のように品のある街はなかなかないでしょう。弊社も、世界をリードする銀座の街にふさわしい会社になりたいと思います。そして、これからは、銀座でも地域に関わっていく機会を増やしていきたいです。
  • ─ 西村さんのように、ソーシャルな取り組みに挑戦したい社員に必要なことは何でしょうか。
  • まずは始めてみること、そして必死に取り組む姿を見せること。社会を良くしようと一生懸命に行動している人には、必ず応援してくれる人が現れます。やり方が分からなくても、そういう味方が告知を手伝ったり、人を紹介したりと、前進を助けてくれると思います。

    「社会に求められていること」、「自分がやりたいこと」に加えて、「会社にとってのメリット」も押さえておくと、規定の役割以外の取り組みであっても、上司から反対されはしないでしょう。いざ始めれば、きっと嫌な思いもします。でもメゲないことですね(笑)。その代わりに、素晴らしい方々とのめぐり逢いが待っていますよ。

中越パルプ工業株式会社 営業管理本部 営業企画部部長

西村 修

大学卒業後、総合製紙メーカーの中越パルプ工業株式会社入社。入社後、製紙原料である国内材集荷拠点の国内各地、外材集荷拠点のアメリカ赴任を経て、現在は東京本社勤務。2009年横浜開港150周年記念テーマイベント「開国・開港Y150」への出展をきっかけとして1998年より同社で製造されていた「竹紙」をブランディングし、対外的に広める活動を主導。「第1回いきものにぎわい企業活動コンテスト」審査委員特別賞、「第8回エコプロダクツ大賞」農林水産大臣賞、「第1回ソーシャルプロダクツ・アワード」ソーシャルプロダクツ賞など、この4年間で環境分野における数々の受賞を果たす。

インタビュアー

杉山 香林

株式会社オルタナ コンサルタント 外資系IT企業や広告代理店、PR会社で、マーケティング・コミュニケーション、および事業戦略、新規事業開発に従事。2008年に独立、社会的課題解決に向けた啓蒙プロジェクトや、企業とNPOの協働支援、CSR活動のコンサルテイング、実務推進サポートを行っている。

取材・文:杉山香林  企画・編集:株式会社オルタナ

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