CSR

銀座 掌

Ginza×CSR Vol.12 銀座 掌

どんぐりプロジェクト
世界初の備長炭専門店、未来につなげる森作り

2014.04.18

「銀座×CSR」12回目にお迎えするのは、世界初の備長炭ショップ「銀座 掌(たなごころ)」の倉田雅代さんです。今年で15周年を迎える銀座 掌の店内には、紀州備長炭独特の輝きをはなったオブジェやアクセサリーが並びます。「森からの贈り物」である備長炭の魅力と、お客様と共に森の復元を支援する「どんぐりプロジェクト」についてお聞きしました。

原木の魅力を活かした備長炭づくり

  • ─ ショップに並ぶ備長炭のオブジェやアクセサリーは、どれも落ち着いた輝きがあって、気品を感じますね。
  • 品質の良い備長炭は、断面が黒いダイヤのように光沢していて、叩くと金属音がします。備長炭といえばバーベキューなどに使う燃料を思い浮かべると思いますが、私たちは質の良い備長炭に加工を施したり、その特性を活かした商品を開発したりすることで、付加価値を付けてお客様にお届けしています。

    細い木の枝の部分はマドラーにしたり、小さな欠片でも粒として使ったり、どんな部位でも無駄にすることはないのですよ。
  • ─ 森の恵みである原木の魅力を最大限に活かしているのですね。生産地はどちらですか。
  • 備長炭の産地として最も歴史のある和歌山県みなべ町です。千年以上にも渡ってウバメガシやアラカシが大切に育てられ、炭焼きが続けられてきました。

    私たちがお世話になっているみなべ川森林組合は、原木の伐採から手がけています。良い木を育成するために、間伐や下草刈りなどの手入れも行っているので、山のことをよくご存知なのです。それがこの産地を選んだ理由でもあります。

備長炭の断面

銀座 掌 ショップ店内

F製炭士と語り合う未来の森づくり

  • ─ みなべ町にはよく足を運ぶのですか。
  • 私たちスタッフは全員、現地の製炭所に赴いて研修をさせていただいています。研修以外にも頻繁に現地にお伺いして、製炭士の方と山の様子や未来の森について語り合っています。

    製炭士の皆さんにとっても、燃料として仕入れる取引業者が多い中、私たちが違った視点から炭の焼き具合の良さを理解したり、銀座という街で自分の焼いた備長炭が鑑賞用や装飾品として商品化されていたりすることを励みにしていただいているようです。
  • ─ 製炭士の皆さんとの交流はどのような面で活きていますか。
  • 仕上がった備長炭を仕入れに行くという単なる「取引」ではなく、里山の現状や作り手の思いといった背景を商品企画に反映していこうと心がけています。

    私たちは「次世代に向けた環境づくり」という思いで、製炭士の皆さんと共に里山を大切にしながら備長炭を生み出しています。お客様にも未来の豊かな環境について意識をしてもらえるきっかけになればと思っています。

備長炭のクライマックスである窯だしの場面

お客様と共に森を復元

  • ─ 里山から製炭士の皆さん、掌のスタッフの皆さん、商品、そしてお客様に至るまで、1つの思いが線となってつながっているのですね。お客様と植樹活動もされているとお聞きしました。
  • 今から6年前に植樹プロジェクトを始めました。かつて、みなべ町の山林地帯にサーキットを建設する計画がありました。森林を切り拓き、大規模な開発工事が始まったものの、その計画は中止となってしまったのです。みなべ町は放置された山を買い戻し、「みなべ百年の森づくり」として植樹を始めました。

    そこで、私たちも森の復元のお手伝いをさせていただこうと、お客様と共にどんぐりから育てた苗を植樹する活動として始めたのが「どんぐりプロジェクト」です。ご来店いただくお客様に年数回どんぐりをお配りします。そして、お客様の元で心を込めて育てられた苗木を私たちがお預かりし、みなべの森へ植樹しています。
  • ─ 備長炭を通じて森の恩恵を感じているお客様だからこそ、活動に共感いただけているのかもしれませんね。
  • 植樹をする時に使用済みの備長炭を土に混ぜています。上流の水質が綺麗になるので、海の生態系保全にもつながります。海も川も全てつながっていることを考えると、環境保全のためには、やはり森から大切に手入れしていきたいと思っています。

お借りした自然を未来に返す

  • ─ 人の手が入らないと森は荒廃してしまいます。備長炭を生産することも森に手を入れることにつながりますね。
  • 備長炭をつくる原木は、樹齢約30年です。私たちは過去の自然をお借りしているということです。
    ですから、未来の人達にも豊かな森を引き継いでいきたいと思っています。生まれ故郷に豊かな自然が残っていることや、誇れる産業があり、長く続いていることは、大人になった時に心の拠り所になります。それが「人づくり」の根源ではないでしょうか。
  • ─ 需要があるからと適正な供給量を超えて木を伐採してしまう産地もまだあるようですね。
  • 熟練の製炭士の方がおっしゃっていました。「炭を焼く技術ではなく、山を育てる技術がないと良い炭はできない」と。

    みなべ川森林組合では、山を育てることの大切さから伝えていくために、若手製炭士の研修も行っています。私たちも研修のお手伝いとしてお伺いする時もあります。
    「どんぐりプロジェクト」も、何本植えたかということ以上に、森を育てることの大切さや、私たちが原産地とつながりを持ち続けている思いをお客様に伝えることが大事だと思っています。
  • ─ 銀座のショップを訪れるお客様の反応はいかがですか。
  • 例えば、オーガニックコットンの商品が生産者の健康を守るという背景に共感してくださる。そういった意識の高いお客様と出会えることが銀座の魅力でもあります。これからも、文化的な活動を軸足に、愛される店、価値のある店を目指していきたいと思います。

備長炭をつくる原木「うめばめかし」

銀座 掌 ゼネラルマネージャー

倉田 雅代

輸入自動車会社の秘書、外食産業の広報などを経て、2006年、「銀座紀州備長炭ショップ 掌」へ店長として入社。2008年、3店舗のゼネラルマネージャーに就任、併設しているティールーム、バーのオープンに携わる。同時期にお客様へ質の高いくらしの提案をお届けできるよう、「環境健康学トランスレーター」の資格を得る。銀座は子供時代より都電に乗って食事や買い物を楽しんだ思い出の詰まった街。銀座で働くことの素晴らしさを若いスタッフに伝えることも心掛けている。

インタビュアー

杉山 香林

株式会社オルタナ コンサルタント 外資系IT企業や広告代理店、PR会社で、マーケティング・コミュニケーション、および事業戦略、新規事業開発に従事。2008年に独立、社会的課題解決に向けた啓蒙プロジェクトや、企業とNPOの協働支援、CSR活動のコンサルテイング、実務推進サポートを行っている。

取材・文:杉山香林  企画・編集:株式会社オルタナ

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