CSR

TBM

Ginza×CSR Vol.25 TBM

数百年先の未来を見据え、資源問題に挑む銀座発ベンチャー

2017.03.10

「銀座×CSR」第25回で紹介させていただくのは、2011年8月に創業し、2016年11月から銀座に事業所を構えたベンチャー企業、TBMです。石灰石を主原料とし、紙やプラスチックの代わりとなる新素材「LIMEX(ライメックス)」を開発・製造・販売する同社は、サステナブルな未来の先駆者として注目を集めています。今回はTBMの山﨑敦義社長にお話を伺いました。

水・石油資源問題に、サステナブルな新素材で挑む

  • ─ 石灰石を主原料とした、紙やプラスチックの代替となるライメックスは、エコノミーとエコロジーを両立する画期的な新素材として注目されています。創業のきっかけを教えてください。
  • 最初のきっかけは、マイ箸などがブームになり、世界がエコを意識し始めた頃、台湾でストーンペーパーという石灰石でつくった紙があると聞いて、その輸入商社を始めたことでした。実際に販売してみると、いくらエコフレンドリーでも、高くて。ニッチなノベルティとしてしか採用されないような状況でした。

    しかし、多くの方から「軽くて品質が安定し、価格が安くなったら、すごいものになるよ」と言われ、可能性を感じていました。元日本製紙の専務取締役を顧問に招いて、台湾の取引先に品質改良を依頼したものの、思うようにいかず、自ら技術開発することにしたのです。
  • ─ LIMEXの普及は、世界にどのようなインパクトをもたらすでしょうか?
  • 通常、普通紙1トンを製造するのに、約100トンの水と約20本の木が必要と言われています。日本に暮らしていると、水資源についてあまり意識することはないですが、産業化の進む新興国では人口増加が起き、圧倒的に水が不足するということを知って、衝撃を受けました。石油もあと約50年で枯渇すると言われています。

    だからこそ、世界中に存在し、日本でも調達できる石灰石を主原料にしたライメックスに賭けようと思いました。

    中東やアフリカ、中国やインドなどへの拡大を目指しています。耐水性もあり、紙やプラスチックの代わりになる素材ですので、さまざまな需要に応えられるように技術開発し、ポテンシャルを高めて行きたいです。原料にも水や木を一切使用していません。
主原料となる石灰石

主原料となる石灰石

ライメックスの名刺。1箱で約10ℓの水が守れる

ライメックスの名刺。1箱で約10ℓの水が守れる

社会貢献への想いが、成長の原動力になる

  • ─ 2015年2月には、宮城県白石市にパイロットプラントを建設。東日本大震災の被災地での積極的な事業展開が評価され、Japan Venture Awards2016の東日本大震災復興賞など複数の賞を受賞されています。高い技術力だけではなく、社会貢献にも意欲的な理由とは何でしょうか。
  • 僕は大阪の岸和田市の出身で、阪神・淡路大震災を21歳の時に体験したのですが、その時は力になろうと思っても何もできなかったという経験をしました。だから、今度ああいうことが起きた時には必ず、社会に貢献できる経営者になりたいという気持ちがありました。

    震災後、創業したばかりでTBMの経営も大変な状況だったのですが、復興事業として被災地に貢献する意味合いも持つ、工場を宮城県につくることを決断しました。成長してから手掛けようと思っていた事業を通した復興支援に、成長過程で取り組むことができたという感じです。
宮城県多賀市に建設予定の量産工場

宮城県多賀市に建設予定の量産工場

  • ─ 2016年7月には、初の海外子会社をサンフランシスコに設立されました。どんな狙いがあるのでしょうか。
  • カリフォルニアのシリコンバレーは世界をリードするベンチャーが集結する街です。テスラという電気自動車のベンチャーがあるのですが、地球規模でサステナブルな社会をつくろうというテスラの挑戦を買って、課題があっても、乗り心地をフィードバックして、より良い製品として普及させようとベンチャーを応援する人たちが、カリフォルニアにはたくさんいるのです。

    カリフォルニアは実際に水不足で困っているし、環境意識が高い人たちが多い。そういう場所で使われているという実績が、社会へのインパクトになるし、日本市場への影響力になると考えました。
  • ─ 社内にバリアフリーのスピーカーを設置するなど、ダイバーシティ対応も進めています。
  • 会長をはじめ、ものづくりで日本の高度成長を支えてきた経営者の大先輩を役員に招いていますから、「聴こえやすさ」に配慮しています。ESG投資の観点からも、導入しています。

    こういった経験のある方々と、もう一度新素材のものづくりで世界に挑戦することは醍醐味です。
取締役会長 角 祐一郎氏

取締役会長 角 祐一郎氏

時代を超え、世界をインスパイアし続ける銀座を拠点に

  • ─ 2016年11月より銀座を本拠地として展開されています。その想いとは?
  • 銀座は、お年寄りから子ども、恋人たちなど、世界中からいろいろな人たちが高揚感を持って集まる、ポジティブなオーラのある街です。私は、土日も関係なく仕事をしていることが多いです。

    週末に仕事をしていると、歩行者天国があり、街ゆく人たちの笑顔に触れていることで、アイデアが湧くこともあります。それに、常に世の中の動きを感じていられるし、世界の人から注目される発信力のある場所でもあります。マーケティングにもつながると考えています。他のどの都市でも味わうことのできない魅力のある街だと思っています。
  • ─ これから、どのような展開を目指していますか
  • 2020年の東京オリンピック・パラリンピックでLIMEXが使われて、世界から来た人たちがそれを持ち帰り、世界中に広がっていけばと思っています。テスラのイーロン・マスク氏や、ソフトバンクの孫氏を経営者として尊敬しているのですが、彼らは自分が生きている時代だけを見て事業を考えていない。100年後、200年後も続く人類の幸せのために働くという感覚で常に大きなリスクをとっています。

    これからいくら技術が発達しても、やっぱり人がベース。しっかりした志を継承していけるような会社として、次世代を担う仲間を増やして行きたいと考えています。
株式会社TBM

代表取締役  山﨑敦義

20代に中古車販売業を起業。複数の事業立ち上げを行う。30代になり、グローバルで勝負ができて100年後も継承される人類の幸せに貢献できる1兆円事業を興したいと奮起。時代の架け橋となる株式会社TBMを立ち上げる。Japan Venture Awards2016「東日本大震災復興賞」受賞。2016年、米国アクセレーター Plug and Play 「世の中に最も社会的影響を与える企業-ソーシャルインパクトアワード」を受賞。テレビ東京系「日経スペシャル カンブリア宮殿」500回記念番組に出演。
ライター

今井麻希子

株式会社オルタナ 外資系IT企業等に勤務の後、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議(COP10)にNGOの立場で参加したことを契機に、環境やソーシャルの分野に仕事の軸をシフト。生物多様性やダイバーシティをテーマに、インタビューや編集・執筆、教育プログラムの開発や対話型カウンセリング・セッションを手がける。

取材・文:今井麻希子 / 企画・編集:株式会社オルタナ(http://www.alterna.co.jp)

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