GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

本橋 修一×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.68

本橋 修一×高嶋 ちさ子

2017.07.03

バイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんがゲストの方に、銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、「世界名作劇場シリーズ」や「ちびまる子ちゃん」など、数々の名作アニメを生み出してきた『日本アニメーション株式会社』のライセンス事業部 本橋修一さんです。

最初に手掛けた作品は「フランダースの犬」

高嶋さん
本橋さんは、何をされている方なんですか?
本橋さん
グッズのライセンスなど、アニメーションの二次利用のライセンス管理が主な業務です。
高嶋さん
そうなんですね。私にとって日本アニメーションさんといえば、やっぱり「世界名作劇場」なんです。小学生のときに、よく観ていましたから。
本橋さん
ありがとうございます。ちなみに、最初に日本アニメーションが手掛けたのが「フランダースの犬」です。
高嶋さん
(日本アニメーションが手掛けた作品リストを見ながら)「フランダースの犬」はもちろん、これも、これも知っています! あ、これは知らないけど……。本橋さんは若いから、知らない作品の方が多いですよね?
本橋さん
たしかに、リアルタイムで観ているものはほとんどないですね(苦笑)。ただ、私は祖父が創業者ということもあって、家には日本アニメーションの作品のビデオが多数あったんです。
高嶋さん
その中で、自然と「世界名作劇場」シリーズにも触れていたわけですか?
本橋さん
はい。
高嶋さん
日本アニメーションさんには過去、宮崎駿さんもいらしたとか。
本橋さん
はい。日本アニメーションの前身の会社があるんですが、その当時のスタッフには、宮崎駿さんや高畑勲さんという日本を代表するアニメーション監督がアニメーターとして働いていました。
高嶋さん
すごいですね。
本橋さん
ちなみに、「赤毛のアン」は高畑さんや宮崎駿さんが作品づくりに関わっていました。
高嶋さん
そう聞くと見直したくなります。ちなみに本橋さんは「7つの海のティコ」ってご存知ですか?
本橋さん
はい、観ていました。
高嶋さん
うちの子、大好きなんです! なんか、グッズないですか…?
本橋さん
残念ながら、ないんですよ……(苦笑)。
高嶋さん
そっかぁ……。てかもう、うちの子、シャチにはまり過ぎて大変なんですよ!
本橋さん
アニメの影響って、やっぱりすごいですよね。
「フランダースの犬」 © N.A.

「フランダースの犬」 © N.A.

宮崎駿さんが描いた「赤毛のアン」 © N.A. ™AGGLA

宮崎駿さんが描いた「赤毛のアン」 © N.A. ™AGGLA

こだわりは「親子で見られる良質な作品作り」

高嶋さん
日本アニメーションさんが物作りする上で、大切にしている“こだわり”みたいなものってあるんですか?
本橋さん
あります。たとえば「フランダースの犬」というのは、それまでロボットやスポーツをモチーフにした作品が全盛だった時代に、「日常を1年かけて見せる」ということに挑戦した作品だったんです。そのイズムは、以降の作品でも継承されていますね。
高嶋さん
たしかに、そうですね。
本橋さん
それと、毎回作品ごとにロケハンも行っているんです。
高嶋さん
ロケハン?
本橋さん
たとえば「母をたずねて三千里」だと、舞台になっている場所の写真をたくさん撮影して、その様子をアニメで再現しているんです。
高嶋さん
そうだったんですね。
本橋さん
はい。どの作品も、「親子で見られる良質な作品作り」にこだわっているんです。それが国内だけでなく、海外でも受け入られている理由なのかなと思います。
高嶋さん
海外で人気の作品というと……?
本橋さん
今なら「ちびまる子ちゃん」ですね。アジア全体ですごい人気があるんですよ。
高嶋さん
へえ、家族で安心して見られるからですかね? 私も「フランダースの犬」は家族で見てましたもん。祖母なんか号泣していましたから!
本橋さん
それはうれしいです。
高嶋さん
「フランダースの犬」は、もはや不朽の名作という印象ですよ。
本橋さん
そうですね。年に1回くらいテレビで「アニメの感動シーン」を一挙放送みたいなものがあるんですけど、だいたい1位は「フランダースの犬」なんです。そのおかげで、40年前の作品にも関わらず、今の若い人たちもラストシーンだけは知っているんですよ。これはすごいなと思います。
高嶋さん
たしかにあれは、誰もが知っている名シーンですよね。

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