GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

三輪 邦彦×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.11

三輪 邦彦×高嶋 ちさ子

2012.08.01

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんに、ゲストの方をお迎えして銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、日本で最初にダイヤモンドエンゲージリングを紹介した宝石店「宝石専門店ミワ」の代表取締役社長、三輪邦彦さんです。

みゆき通りを有名にしたい……『フラワーカーペット花祭り』への思い。

高嶋さん
三輪さんは、銀座みゆき通り美化会を創設され、みゆき通りの発展に貢献されていらっしゃるそうですが、みゆき通りの名前の由来を教えていただけますか?
三輪さん
明治時代、明治天皇が海軍大学校(現在のがん研)の卒業式などへ行かれた際に、お通りになられていた道だったことに由来するんですよ。
高嶋さん
それは知りませんでした。由緒のある通りなのですね。
そんなみゆき通りの美化会で、どのような活動をされているのですか?
三輪さん
昔、こんなことがありましてね。東京駅からタクシーに乗ったときに、運転手さんに「みゆき通りに行ってください」と言うと、「どこですか?」と返事されることがわりとあったんですよ。有名な道だと思っていたのに世間の人には認識されていないことがショックで、なんとかしなければならないと思ったんです。
高嶋さん
今では考えられないことですね。
三輪さん
そうなんですよ。先ほどもお話したように、みゆき通りは天皇陛下と深い関わりがありますので、それにちなんで当時の天皇誕生日である4月29日に何かやろうと考えました。イタリアのお祭り〝インフォラータ(花のじゅうたんの意味)〟のように、花びらを道路に敷き詰めてみるのがいいんじゃないかと。ちょうどその頃はチューリップの季節でした。チューリップは球根を育てるために花を摘み取ってしまうから、それを使ってみようと思ったんです。
さっそく富山県にお願いしに行きまして、20万本のチューリップの花を譲っていただけることになりました。道路を占有するイベントということで、警察側は難色を示していたんですが、当時の警視総監に直々にお願いしたところ、「お祭りは都会でも田舎でもコミュニケーションの場になるから大いにやりなさい」と言ってくださいました。
高嶋さん
車道に花を敷き詰めようなんて、普通はなかなか思いつかないですよね。
三輪さん
日本で初めての試みでした。外堀通りから中央通までの約300mをチューリップ20万本の花びらで色模様を作りました。この『フラワーカーペット花祭り』のおかげで、みゆき通りの名前も有名になりました。毎年大体4万人くらい来場していただきましたね。25年間をもってこのお祭りは終了しましたが、ありがたいことに不思議と4月29日は一度も雨が降ったことがないんですよ。

フラワーカーペット花祭りの様子

元から銀座の住人ではなかったので、なおさら銀座に対する思いは強いのかもしれない。

高嶋さん
三輪さんが銀座にお店を構えられた頃と比べて、銀座の街は変わりましたか?
三輪さん
もうガラッと変わりましたね。当時は、若者のみゆき族がはびこっていたんです。銀座がそのイメージになっては困るなあと思いまして、頑張りましたよ(笑)。お店もずいぶんと様変わりはしましたが、裏道に入ると昔ながらのお店も残っていて、風情がありますよね。「やっぱり銀座に来ると落ち着くわね」と言って下さるお客様もいて、うれしいです。
高嶋さん
銀座は三輪さんにとってどのような街ですか?
三輪さん
銀座は誰にとっても憧れの街ですよね。その銀座にあるみゆき通りを世界に誇れる通りにしたいと思いまして、みゆき通りの舗道を広げて花壇を作り、美しい景観を保つようにしました。
元から銀座の住人ではなかったので、なおさら銀座に対する思いが強いのかもしれません。まだまだ銀座は変わると思います。ですが、形は変われど残るものは残る、それが銀座という街の魅力でもあるでしょうね。銀座はどの街よりも安心して落ち着ける街です。

次回のゲストは……?

高嶋さん
次回のゲストをご紹介いただけますか?
三輪さん
銀座の老舗テーラー「壹番館洋服店」の若社長、渡辺社長です。おしゃれで粋な趣味を持つ方ですので、公私ともにおもしろいお話が聞けると思いますよ。

高嶋 ちさ子

ヴァイオリニスト。6歳からヴァイオリンを始め、海外で活躍後、日本に本拠地を移し、全国各地でコンサートを行っている。現在は、演奏活動を中心としながらも、テレビやラジオ番組の出演などでそのキャラクターが評価され、活動の場はさらに広がりを見せている。

高嶋ちさ子オフィシャルウェブサイト

三輪 邦彦

1932年生まれ。株式会社 みつわ 代表取締役社長。みゆき通り美化会副会長でもあり、斬新なアイディアで街の活性化に貢献。趣味も多彩で、写真のほか自分でも映画を3本手がけるほどの映像好きでもある。また、育てるのが難しいとされる蘭の育成に挑戦するほど、観葉植物にも造詣が深い。

「宝石専門店ミワ」ウェブサイト

取材・文:岡井美絹子  取材場所:宝石専門店ミワ

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