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西尾美也「感覚の洗濯 in 銀座」報告会レポート

2020年2月28日(金)17時から、MI-Garden GINZA by MITSUBISHI MOTORSで、アーティスト西尾美也さんが銀座で行ったアートプロジェクト「感覚の洗濯 in 銀座」(2019年10月20日実施)の報告会が開かれました。

「感覚の洗濯 in 銀座」とは

アーティストの西尾美也による「感覚の洗濯」は、洗濯物を洗う・干すという日常的な行為を、公園や公共空間において参加者同士で行い、街を彩るアートプロジェクト。数寄屋橋公園での展示とワークショップに加え、銀座にたくさんある小さな「路地」を移動しながら洗濯物を手洗いして干すパフォーマンス、アーティスト・トークを行いました。

「感覚の洗濯 in 銀座」レポート

報告会では、このプロジェクトのあらましが紹介された後「感覚の洗濯 in 銀座」当日の様子を記録した7分弱の映像が上映されました(映像はこの記事の最後に)。

西尾さんは、かつてナイロビを訪れたときに洗濯物が公共空間に干されている情景を目にしたところから「感覚の洗濯」のインスピレーションを得たと語りました。一貫して服飾―ファッションをテーマに作品を作っているが、ファッションブランドなどとは別の文脈で身体の表象としての服飾のあり方に携わっていて、「感覚の洗濯」は行きすぎた資本主義に対して、人が身体感覚を取り戻す行為にもなりうる、と自身の活動を紹介しました。

また、お金を払い、対価としてサービスを得るという取引関係ではなく、誰もが新たな気付きや学びを与え合うことのできる場を「教育」的な場と呼び、「感覚の洗濯」はそのような場でもあったといいます。

また、これまで西尾さんが制作してきた作品をいくつか紹介。地元を離れた子どもが両親のもとへ帰郷し、同じメンバーが同じ服を着て、同じ場所で再び写真撮影を行なう「Familial Uniform」から、ご自身の家族写真を取り上げました。服が、時間を超えて人間や社会の関係性を紡ぎ直す可能性についても触れました。

本報告会を主催したP3 art and environment 統括ディレクターの芹沢高志さんは、先日、アーツカウンシル東京が主催したシンポジウムで、この「感覚の洗濯」と全銀座会のことを紹介したところ、パネリストの一人だったステファン・フィエベ氏(パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 文化担当ディレクター)が、東京の中心でこういう取り組みが行われていることにおどろき、とても興味を持っていたと紹介しました。
※アーツカウンシルオープンフォーラム2020

(筆者注)このフォーラムで同氏は、都市における公共空間の重要性を指摘し、その公共空間を「使う」人たちが、実は公共空間を「作って」いるのだと指摘しました。「公共空間」としての銀座の「路地」の可能性を確認できる議論でした。

最後のフリートークで銀座伊東屋の伊藤明さんは、最初何をやろうとしているのか理解がしづらかったが、今日の西尾さんの話を聞いて腑に落ちたといい、ただ、こういう取り組みをもっと銀座の内外に発信していかないともったいないとアドバイスをくださいました。また、松崎煎餅の松崎宗平さんは、路地裏の価値というものは、この時代に変化しているかもしれないけれど、こういったイベントが行われていき、人からの見られ方が変わっていけば、また次の価値に繋がっていくのではないか、と感想をくださいました。

銀座には、今回の会場となった路地のようなヒューマンスケールの場所が残されていて、今そういう空間に光を当てることの大切さにも、改めて気づかされるプロジェクトだったと感じます。今後もG2020では、2020年の先にある街の可能性を拓くための取り組みを続けます。

〔西尾美也プロフィール〕 1982年奈良県生まれ。同県在住。東京藝術大学大学院博士後期課程修了。博士(美術)。文化庁芸術家在外研修員(ケニア共和国ナイロビ)などを経て、現在、奈良県立大学地域創造学部准教授。装いの行為とコミュニケーションの関係性に着目し、市民や学生との協働によるプロジェクトを国内外で展開。アフリカと日本をつなぐアートプロジェクトの企画・運営のほか、ファッションブランド「NISHINARI YOSHIO」も手がける。近年の主なグループ展に、「DOMANI・明日展」(国立新美術館、2018年)、「ソーシャリー・エンゲイジド・アート展」(3331 Arts Chiyoda、2017 年)、「あいちトリエンナーレ2016」、「さいたまトリエンナーレ2016」などがある。奈良市アートプロジェクト「古都祝奈良」ではプログラム・ディレクターも務めている。
http://yoshinarinishio.net/

【開催データ】
〔日時〕2020年2月28日(金) 17:00~18:00(報告会)
〔会場〕MI-Garden GINZA by MITSUBISHI MOTORS
〔出演〕西尾美也(アーティスト)、司会:松本ひとみ(P3 art and environment)
〔協力〕全銀座会G2020、GINZA FASHION WEEK、渚と、三菱自動車 MI-Garden GINZA
〔後援〕中央区
〔助成〕公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
〔主催〕P3 art and environment

〔映像〕西野正将
〔写真〕廣田達也

〔文、写真※印のみ〕森隆一郎(渚と 主宰 / 全銀座会G2020アドバイザー)

◎「感覚の洗濯 in 銀座」に関する詳細:http://p3.org/ginza/

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